■「社会の歯車になれる」幸せ

「お客さまとはいろんな話をします。天気のこととか、地元のこととか、そして僕の体のこととか」と語る今井さん。彼は身体表現性障害のため、外で働くことが難しいという。

「生きているからには、働くことによって社会に何かを還元したいって、やっぱり人間思うので。社会の歯車になれる方が幸せだと思います」

 他のパイロットにもさまざまな障害がある。筋萎縮性側索硬化症(ALS)など手が不自由なパイロットは、特殊なデジタルパネルの上の文字を目で追うことでロボットを操作する。

 カフェ・プロジェクトの生みの親は吉藤健太朗(Kentaro Yoshifuji)氏(33)。OriHimeを製作するオリィ研究所(Ory Laboratory)の共同創設者だ。

 幼いころ病弱で学校に通えなかった吉藤氏は、外出できない人々が働ける場をつくれないかと考えるようになった。

「どうすれば自分が働きたいときに働ける選択を持ち続けることができるのか」を考えていると語り、Dawnは意欲ある人の「社会参加」について考えている場だと言う。企業やクラウドファンディングの協力を得て、カフェを立ち上げた。

「この店は決してOriHimeに会いに来たいお客さんが来ているわけではない」と吉藤氏はAFPに語った。「OriHimeの向こう側に操作をしている人がいて、その人を認識して、その人にまた会いに来ようっていうふうに来てもらえる」