【8月30日 AFP】静寂を破るのは、愛する人を失った家族のすすり泣く声だけ──。米デラウェア州ドーバー空軍基地(Dover Air Force Base)に29日、アフガニスタン首都カブールの爆弾攻撃で死亡した米兵13人の遺体が到着した。ひつぎが一つずつ車両に運ばれるのを、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は胸に手を置き見守った。

 出迎えには、バイデン氏の妻ジル(Jill Biden)氏、ロイド・オースティン(Lloyd Austin)国防長官、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官の他、軍の上層部や政府高官らも参列した。

 バイデン氏はこの後、首都ワシントンでのハリケーン「アイダ(Ida)」に関する演説で、亡くなった兵士らについて触れ「英雄」とたたえた。13人の中には、アフガニスタン戦争が始まった年に生まれた20歳の兵士らも含まれていた。

 バイデン氏は「彼らのために祈りをささげよう」と述べたが、アフガニスタンに関する質問にはそれ以上答えなかった。

 26日にカブールの空港付近で起きた爆弾攻撃では、米兵13人の他、100人以上のアフガニスタン人が死亡した。攻撃については、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」のアフガニスタン分派「イスラム国ホラサン州(IS-Khorasan)」が犯行声明を出している。

 米国は爆弾攻撃を受け、イスラム国ホラサン州を標的とする無人機攻撃を少なくとも2回実施。このうち29日の攻撃は、カブールの空港に向かっていた車両に対するものだった。

 アフガニスタンからの米軍撤退は混乱を極めている。イスラム主義組織タリバン(Taliban)が権力を掌握して以来、約11万4000人が国外に逃れた。撤退の対応をめぐり、バイデン政権は発足以来、最大の批判を浴びており、特に共和党議員から非難されている。

 国務省の報道官によると、アフガニスタンにはまだ約250人の米国人が残っている。この他、280人前後が自分が米国人だとしているが、国外への避難を希望するか決めていないという。(c)AFP/Saul LOEB, with Elodie CUZIN in Washington