【8月28日 AFP】米軍のアフガニスタン撤退後、首都カブールの空港は誰が運営することになるのか──これは、アフガニスタンの新たな統治者であるイスラム主義組織タリバン(Taliban)のみならず、自国民や関係者を全員退避させようとしている欧米諸国にとっても重要な問題であり、協議は混迷している。

 カブール(ハミド・カルザイ、Hamid Karzai)国際空港は、来週の9月1日にはタリバンの支配下に置かれる。

 国務省のネッド・プライス(Ned Price)報道官は27日、「わが国は8月31日までには退避する。その日には、基本的に空港をアフガニスタンの人々に引き渡す」と述べ、各国が共同で空港を運営するのではないかとの臆測を否定した。

 しかし、タリバンのカブール進攻を受けて政府が崩壊して以降、権力はタリバンが握っているものの、いまだ政権は樹立されていない。

「空港の運営は容易ではない」とプライス氏は指摘し、「9月1日に空港が通常通り運営されていると期待するのは、おそらく無理な話だと思う」と述べた。

 アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は今週、空港が一時的に閉鎖される可能性について触れ、周辺諸国が空港の運営維持に協力できるかどうかを見極めるため「非常に積極的な取り組み」を行っていると述べる一方で、空港の今後の行方はタリバンにとって重要だと指摘した。

■トルコ政府の役割は?

 しかし、カブール国際空港は、自国民やアフガン人の協力者を脱出させようとしている欧米諸国にとっても重要だ。8月31日までに米国主導の空輸作戦で退避できない協力者は数千人になるとみられる。

 これまで、アフガニスタンの安定化には北大西洋条約機構(NATO)が重要な役割を果たしてきた。加盟国の文民が航空管制、燃料供給、通信事業を引き受け、トルコ、米国、英国、アゼルバイジャンの部隊が治安維持を担当してきた。

 多国籍軍の完全撤退が迫る中、空港周辺の警備はトルコが引き継ぐのではないかとみられてきた。

 だが、タリバンは、いかなる外国部隊も8月31日までに撤収するべきだと主張。実際、トルコ軍も撤退を始めている。

 一方で、外交の最前線では交渉が続けられている。

 27日にはカブールでタリバンとトルコ政府関係者らによる初の協議が行われ、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、タリバン側が空港警備の監督権限を求めており、トルコ政府には物流面の管理を委託したい意向を示したと明らかにした。

 今後のカブール空港運営に関する協議にはカタールや民間事業者も参加しており、米国は自らをその調整役と称している。

 だが、誰が空港の運営を引き継ぐかはデリケートな問題だ。治安上の懸念に加え、施設の管理も行き届いていないと米政府関係者らは述べており、空港を管理できるのは世界中で米軍以外にほとんどいないだろうと指摘している。(c)AFP/Francesco FONTEMAGGI