【8月28日 AFP】米軍がアフガニスタンからの退避作戦を円滑に進めるため、退避を希望する米国人やアフガン人の名簿をイスラム主義組織タリバン(Taliban)に提供していたと、米政治専門メディア「ポリティコ(Politico)」が26日に報じた。ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は報道を完全に否定せず、共和党は騒然となった。

 記者団の質問攻めに遭ったバイデン氏は、タリバンに名簿が渡った可能性を排除せず、「実際に名簿があったとは断言できない」と述べた。「あったかもしれないが、そのような状況は把握していない」

 さらに、「『これが12人の名前で、彼らが来るから通してほしい』といったようなことはなかった。そういうことも十分あり得た」と述べた。

 バイデン氏の発言に、共和党は騒然となった。ケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)共和党下院院内総務は、「政府が国民の名簿をタリバンに渡すだなんて、この国の歴史の中で考えられなかったことだ」と指摘。「なぜ安全に移動できる状況をつくらなかったのか」

 米国防総省は、大規模な退避を調整するためにタリバンと連絡を取っていたことを認めている。

 国務省関係者は、ナンバープレートや空港への到着時刻など、車両に関する情報が共有されることがあるとした上で、退避を円滑に進めるために退避希望者の名前が伝えられることがあった可能性も否定できないと述べた。(c)AFP