【8月28日 AFP】アフガニスタンの首都カブールで27日、車の後部スペースに座り泣く少年。隣には、前日の爆弾攻撃で亡くなった家族のひつぎが置かれていた。

 少年は、攻撃の犠牲になった親族の遺体を引き取るために救急病院に集まった大勢のうちの一人だ。事件を受け、カブールの医療施設はたちまち逼迫(ひっぱく)した。

 事件は26日夕方、空港周辺で発生。国外退避期限が迫る中、イスラム主義組織タリバン(Taliban)の支配から逃れようと空港付近に集まった人々の間で、爆弾が爆発した。

 爆発により多くのアフガン人と米兵13人が死亡。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した。

 アブドゥル・マジード(Abdul Majeed)さんは、10代の弟を捜すために病院を訪れた。弟は必要書類もないまま、アフガニスタンの混乱を逃れたい一心で、空港周辺にいたという。

 マジードさんによると、救急病院には何百人もの死傷者が夜通し搬送されてきた。「自分の目で一人一人確認した。弟はいなかった」と明かし、「きのうからカブールにある全ての病院で弟を捜したが見つかっていない」と語った。

 弟は学校での成績が優秀だったが、「アフガニスタンには、誰もが外国に行きたいと願う風潮が生まれていた。この国の問題のせいだ」とマジードさんは話した。

 マジードさんの他にも、眠れず疲弊した人々が病院の壁沿いの歩道に集まって座り込み、病院からの知らせを待っていた。

 一方、事件から一夜明けた現場は静まり返り、数人の武装した警備担当者を除いて人影はなかった。陽光の中、鳥のさえずりが聞こえるが、地面に散乱する血に染まった衣類が、前日の爆発の恐怖を物語っていた。(c)AFP