【8月30日 AFP】南アフリカで、さびれた鉄道駅が新型コロナウイルスワクチンの接種会場に生まれ変わった。白く輝く列車で遠隔地にワクチンを届け、低迷する接種率を押し上げようという、ありそうでなかった取り組みだ。

 ヨハネスブルクの約50キロ東方にあるスプリングス(Springs)駅のホームに、プラスチック製の椅子が一定の間隔を保って並べられている。人々はこの椅子に座って順番を待ち、一人ずつ呼ばれては列車に乗り込んでいく。

 ワクチン接種のための特別仕様の列車「トランスバコ(Transvaco)」は、鉄道貨物輸送を担う公社トランスネット(Transnet)の出資で運用されている。改装された車両の中には接種用の個室が並び、1日当たり600人にワクチンを接種できる。

 列車は全9両で、接種用の他8両がスタッフの宿泊や食事のためのスペース、倉庫、発電設備などに使われている。

 ワクチン列車はスプリングス駅に2週間停車して接種を行った後、9月から3か月間にわたって貧困層の多い東ケープ(Eastern Cape)州を回る計画だ。(c)AFP