【8月27日 AFP】スイス・ローザンヌ(Lausanne)市は26日、600年以上の伝統を誇る大聖堂の夜警に、史上初めて女性が就任したと発表した。カサンドル・ベルドズ(Cassandre Berdoz)さんは、今月16日から夜警助手を務めているという。

 レマン湖(Lake Geneva)のほとりにある風光明媚(めいび)なローザンヌで、黒い帽子をかぶりランタンを手にした夜警は一年中、大聖堂の鐘楼に上り、毎晩午後10時から午前2時まで1時間ごとに肉声で時を告げる。616年の歴史を持つ伝統だ。

 市当局によると、ローザンヌの夜警の任を女性が務めるのは「史上初」であり、ベルドズさんは「1405年から途切れることなく続く伝統を守り、発展させるのに貢献する」存在だという。

 ローザンヌ生まれのベルドズさんは、「物心ついた頃から、この伝統に魅了されてきた。ずっと夜警になりたかった」と述べている。

 女性の夜警は、欧州全土でも史上初とみられる。

 かつて欧州各地に数万人いたとされる夜警は、極めて重要な役割を担っていた。木造建築ばかりの中世の町や都市にとって、火災は常に脅威だった。鐘楼の上から煙をいち早く見つけ、警鐘を鳴らす大聖堂の夜警は、街頭を見回る番人たちのネットワークの要だった。

 しかし、技術が進歩するにつれて夜警は時代遅れとなり、欧州からほぼ姿を消してしまった。ローザンヌ市によれば、欧州では同市を含めて63都市に現在も夜警の伝統が残っている。(c)AFP