【8月27日 AFP】メキシコで、集合墓に埋葬されているか法医学施設などに保管されている身元不明の遺体が5万体超に上ることが分かった。行方不明者の家族を代表する団体「Movement for Our Disappeared(行方不明者のための運動)」が26日、発表した。

 同団体は、メキシコが遺体の身元確認において「深刻な法医学上の危機」に直面していると警告した。

 同団体が法医学当局に開示請求して入手した数字をまとめた報告書によると、身元不明の遺体は約5万2000体に上り、60%は公営墓地にある集合墓に埋葬されている。

 それ以外の遺体は、法医学施設や大学、または政府が確認できていない場所で保管されているという。

 報告書はこの数字について、「過去15年間の暴力の増加が、特に強制失踪や殺人の面で、社会に大きな影響を与えていることを示している」と指摘している。

 また、法医学当局の問題点として、人材不足、不十分な研修、低賃金、臨時雇用などを挙げている。

 報告書によると、政府は新たな法医学的な身元確認の体制を構築することに同意しており、概要は数日中に明らかになる。

 メキシコの国家人権委員会(National Human Rights Commission)は2019年10月、国内の遺体安置所に身元不明の遺体3万体以上が保管されていると発表していた。

 メキシコでは2006年に政府が麻薬密売との闘いに軍を投入して以来、30万人以上が殺害されている。その大半は、犯罪組織に殺害されたとみられている。

 政府統計によると、行方不明者は全国で約8万2500人となっている。(c)AFP