【8月27日 AFP】アフガニスタンの首都カブールの空港付近で26日に起きた連続爆弾攻撃の現場では、水路にうつぶせになった遺体が浮かび、服が血に染まった負傷者が手押し車で搬送される光景が繰り広げられた。

 事件では、イスラム主義組織タリバン(Taliban)が実権を握ったアフガニスタンから退避する航空機に乗ろうと集まった人々の間で、爆弾がさく裂した。

 ソーシャルメディアに投稿された映像では、水位がすねの高さほどの用水路の中で、互いに重なり合って倒れる人々が捉えられている。ショック状態となった生存者らが立ち上がる中、家族らを捜して必死に助けを求める叫び声が響いた。

 最初の爆発に居合わせた男性はAFPに対し、「遺体や肉片、人々が、近くの水路に投げ出された」と説明。「ゲートで待っていた人々の中で大きな爆発が起きた。多くの人が死傷した」と語った。

 男性は米国のビザ(査証)を申請したが、妻と子ども3人と共に国外退避便に乗るために用意した書類を、混乱の中で紛失してしまったという。「(空港には)もう二度と行かない。米国も、米国による退避も、ビザも、もう終わりだ」

 別の男性によると、最初の爆発で現場には「完全なパニック」が広がった。爆発の後に「タリバンがアビーゲート(Abbey Gate)の群衆を解散させるため、空に向けて発砲し始めた」と男性は説明。「けがをした赤ちゃんを抱えて走る男性を見た」と語った。

 欧米の情報機関は26日、事件発生に先立ち、差し迫った攻撃の恐れを警告していた。ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」のアフガン分派がテロを実行する可能性があると指摘。だが、米国が設定した国外退避完了の期限が5日後に迫る中、空港周辺には多数の人が集まっていた。

 爆発は、日が暮れ始めたころに発生。タリバンによると、13~20人が死亡し、52人が負傷した。米国防総省によると、爆発のうち1件はカブールの空港のアビーゲートで起き、さらに少なくとも1件がゲート付近のホテル「バロン(Baron)」で発生した。

 爆発後まもなく、AFPのカメラマンはカブールの病院に複数の遺体が搬送される様子を確認。けが人が担架に乗せられて病院に運び込まれる中、顔や服が血で染まった女性たちが泣き声を上げる姿も見られた。(c)AFP