【8月26日 AFP】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン(Taliban)はソーシャルメディア上で、独自の「特殊部隊」を誇示するプロパガンダを展開している。略奪した米軍の軍用品を装備し、新しい戦闘服を着た隊員らの姿は、通常のタリバンのイメージとは対照的だ。専門家らは、タリバンが以前よりも優れた装備と訓練を受けた部隊を有していることを強調するため、同部隊の写真や動画を投稿していると分析している。

「バドリ313(Badri 313)」と呼ばれるこの部隊は、通常のタリバン戦闘員がみせる伝統衣装サルワール・カミーズにターバン、サンダルという姿とは異なり、世界各国の特殊部隊が着用しているような戦闘服やブーツ、目出し帽、防弾チョッキを身に着けている。

 携帯する武器はロシア製のカラシニコフ(Kalashnikov)銃ではなく、M4などの米国製の新型ライフルで、中には暗視ゴーグルや高性能な照準器を使用している隊員もいる。ソーシャルメディア上では、第2次世界大戦(World War II)中の1945年に硫黄島で星条旗を掲揚した米兵の姿をバドリ313部隊がまねる挑発的な写真も投稿された。

 防衛コンサルティング会社ジェーンズ(Janes)のマット・ヘンマン(Matt Henman)氏はAFPに、タリバンのバドリ313部隊についてのプロパガンダには「当然ながら、ある程度扇情的な部分がある」ものの、同部隊は「タリバン戦闘員の中でも最も訓練され、装備の整った部類に入るだろう」との見方を示した。

「カリバー・オブスキュラ(Calibre Obscura)」という仮名でツイッター(Twitter)に投稿している兵器専門家はAFPに対し、バドリ313部隊は欧米やインド、パキスタンの特殊部隊には太刀打ちできないものの、「通常のタリバンよりも能力は高く、数週間前の一般的なアフガン国軍部隊よりも確実に有能だ」と指摘した。

 バドリ313の名は、1400年前にイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)がたった313人の軍を率いて勝利したとされる「バドルの戦い(Battle of Badr)」にちなんだもの。専門家らは、同部隊の規模は数千人に及ぶ可能性があるとみている。

 バドリ313部隊が所持している装備の数は不明だが、ネット上に投稿された一連の写真には、米国から装備提供を受けたアフガン軍が放棄した装甲車や航空機、武器を奪取して歓喜するタリバン戦闘員の様子が写っている。ただ専門家らは、ヘリコプターなどの最先端兵器は扱いが難しく、整備はほぼ不可能だと指摘している。(c)AFP/Didier Lauras