【8月26日 AFP】米ロックバンド「ニルヴァーナ(Nirvana)」のアルバム「ネヴァーマインド(Nevermind)」に使用され、史上最も有名なアルバムジャケットの一つとなった画像に、赤ちゃんのころの写真が使われた米国人男性が、性的搾取を理由に同バンドを提訴した。

 訴訟を起こしたスペンサー・エルデン(Spencer Elden)さんは生後4か月だった1991年、プールの中で裸になって釣り針にかかった1ドル札に手を伸ばしている姿を撮影された。アルバムは3000万枚の売り上げを記録し、「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット(Smells Like Teen Spirit)」などの収録曲は米国のポップカルチャーに大きな影響を与えた。

 しかし、エルデンさんとその保護者はいずれも写真の使用を許可する文書に署名しておらず、「彼を写した商業的児童ポルノの許可ももちろんなかった」と訴状は指摘。エルデンさん自身が写真に対する報酬を受け取ったことは一度もないとしている。

 エルデンさんは、存命中の元メンバーであるデイヴ・グロール(Dave Grohl)氏とクリス・ノヴォセリック(Krist Novoselic)氏、ボーカルの故カート・コバーン(Kurt Cobain)氏の遺産管理人、写真を撮影したカーク・ウェドル(Kirk Weddle)氏を含む15人を相手取り、米カリフォルニア州の裁判所に提訴。「極度かつ永続的な精神的苦痛」を受け、「生涯にわたる収入獲得能力の喪失」などの被害を受けたとして、各人に対し15万ドル(約1650万円)の損害賠償を求めている。

 ニルヴァーナの代理人や元メンバーが所属するレコード会社は、この訴訟について今のところコメントしていない。

 エルデンさんは、アルバム発売25周年記念などの際に何度かこのアルバムカバーを再現している。2008年にエルデンさんの家族が米公共ラジオ局NPRに語ったところによると、撮影者のウェドル氏はエルデンさんの父親の友人で、2人が開いたプールパーティーで当時無名だったニルヴァーナのためにこの写真を撮影。エルデンさんの両親は報酬として200ドル(約2万2000円)を受け取った。(c)AFP