【8月25日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は24日夜、来年5月の副大統領選に出馬すると表明した。麻薬犯罪や反政府勢力の「撲滅運動」を続けるためとしているが、大統領選への出馬がうわさされる娘を守るための「目くらまし」だという指摘や、刑事告発を逃れるためとの声もある。

 フィリピンでは大統領の再選は禁止されており、ドゥテルテ氏はこれまでも副大統領選への出馬を示唆していた。

 同氏は事前に収録された演説で、「副大統領選に立候補する」と表明した。与党PDPラバン(PDP-Laban)は先に、ドゥテルテ氏の出馬の意向を明らかにしていた。

 この中でドゥテルテ氏は、「撲滅運動を続ける。麻薬や反政府勢力を懸念している。そう、一番懸念しているのは反政府勢力で、次が犯罪や麻薬だ」と述べた。

 2016年の大統領就任以降、ドゥテルテ氏は麻薬犯罪の取り締まりを強権的に進めてきた。人権団体は、これにより数万人が死亡したとみている。この件に関し、オランダ・ハーグ(The Hague)の国際刑事裁判所(ICC)の検察官も本格捜査を求めている。

 与党は大統領選では、ドゥテルテ氏の長年の側近クリストファー・ローレンス・ゴー(Christopher Lawrence Go)上院議員を候補者に擁立するとみられている。

 だが、与党所属の上院議員でボクサーのマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)氏を支持する派閥関係者は、ゴー氏とドゥテルテ氏の出馬は、大統領選出馬が有力視されているドゥテルテ氏の娘サラ(Sara Duterte)氏を政治的批判から守るための「目くらまし」だと指摘する。

 最高裁は、現職大統領には免責特権があり訴追されないと判断している。だが、副大統領にも同様の免責特権が認められるかについては議論が続いている。

 サラ氏かゴー氏が大統領に選出されれば、ドゥテルテ氏を刑事訴追から守ることができる。

 最近行われた世論調査では、パッキャオ氏を含む大統領選の立候補が予想される議員の中で、野党所属のサラ氏の支持率が最も高かった。

 フィリピンでは大統領と副大統領は、それぞれ別の選挙で選出される。(c)AFP