【8月31日 AFP】オーストラリア最大の都市シドニーで生まれ育ったリズ・ミルズ(Liz Mills)氏は、若い頃からプロのバスケットボールコーチになる日を夢見ていた。自分がやがて、そこから数千キロも離れたアフリカで名声を築き、女性ヘッドコーチ(HC)として初めて、男子チームを率いて大陸選手権に乗り込むことになるとは思いもしなかった。

 アフリカに来てから10年がたつミルズ氏は、今ではケニア代表のHCとなり、短期間でチームを28年ぶりとなるバスケットボールアフリカ選手権(FIBA AfroBasket 2021)出場に導いた。

 ミルズ氏は「自分は少し珍しいタイプで、十分なチャンスをもらえていないと感じていた」という。年齢と性別を理由に過小評価されることも多かったが、今では女性指導者の「パイオニア」であることに誇りを持っているそうだ。

「特にアフリカの女性コーチに刺激を与え、女性たちが大陸中の男子チーム、女子チームを率いるきっかけをつくれていたらうれしい」

 それでもミルズ氏は、2021年という時代に、自分が男子チームを率いる初めての女性ヘッドコーチになるのは間違っていると考えており、もっと女性を引き込む努力をしてほしいと各連盟に訴えている。

「ドアがこのまま閉じないようにして、そこからできる限り多くの女性を呼び込みたいと考えている。そしてできれば数年後、私が今年やったことをやる女性が100人、500人と出てきてほしい」

 ミルズ氏はザンビア代表とカメルーン代表の男子チームでアシスタントコーチを務めた後、2021年1月からケニア代表のヘッドコーチに就任した。コートでは、黒革のロングブーツと黒のジーンズをはき、チームカラーである赤のポロシャツを着ている。ハイヒールのブーツをはくのは、長身の選手たちと並んだときに「少し背を高く」見せるためだという。