【8月24日 AFP】タイは24日、伝統的な薬草として使われてきた熱帯植物「クラトム(学名:Mitragyna speciosa)」を合法化した。米国など一部の保健当局は、クラトムの安全性を疑問視している。

 コーヒー科のクラトムには、鎮痛作用と穏やかな刺激効果があり、東南アジアとパプアニューギニアで数百年にわたって使用されてきた。

 クラトムをめぐっては、米食品医薬品局(FDA)が依存や乱用の恐れがあると警告したことから米国内で知られるようになった。

 アヌチャー・ブラパチャイシー(Anucha Burapachaisri)報道官によると、今回の法改正で「一般市民がクラトムを合法的に消費・購入できるようになる」。また、クラトム関連で収監されている受刑者1000人以上が釈放されるという。

 タイ開発研究所(TDRI)の調査によると、合法化により約16億9000万バーツ(約55億7000万円)の訴訟費用を節減できると推定されている。

 クラトムは、モルヒネと同じ脳の受容体を刺激するが、作用は弱い。タイでは主に深南部で、イスラム教徒の労働者らが肉体労働後の鎮痛剤として用いている。

 国際的な規制対象とはなっていないものの、世界保健機関(WHO)は7月、クラトムを規制対象とすべきか調査中だと明らかにした。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)のフィル・ロバートソン(Phil Robertson)氏は「タイにおけるクラトムの合法化は、農村部で伝統的に使われてきた薬物の違法化という権利乱用を終わらせるものだ」とAFPに述べた。

 タイは2019年、東南アジアで初めて医療用大麻を合法化している。(c)AFP