■2本多いペダル

 ウィンストンさんは、18世紀から20世紀に製作されたピアノのコレクションを見せてくれた。

 そのうちの一つに、19世紀オーストリア・ウィーンで作られたピアノのレプリカがある。これはウィンストンさん自らが手掛けたもので、最大の特徴は現代のピアノでは3本が主流となっているペダルが5本あることだ。

 2本多いペダルを使うことで、ドラムとベルのような効果音、もしくはファゴットのきしむような音を出すことができる。当時人気のあった勇ましい音楽にぴったりだ。

 ロンドンの王立音楽院(Royal Academy of Music)の学生シャオウェン・シャン(Xiaowen Shang)さんはこのピアノがお気に入りだ。「現代のピアノと比べると(中略)これはもっと優しくて、とても繊細な音をしています」と言って弾いてみせた。

 コレクションには年代物のピアノだけでなく、20世紀のライフスタイルに合わせたものもある。

 ウィンストンさんは、バーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)の1970年代のバラード曲「追憶(The Way We Were)」の楽譜を取り出し、シャンさんに銀色に光るアルミフレームのグランドピアノで弾いてもらった。

 このピアノは、今はなきオランダのリッペン(Rippen)が60年代に製作したもので、とても安定していて非常に音が良いのだという。

 自身のピアノコレクションに興味を示す人については、「希少楽器の収集家」や「部屋に飾るための非常に珍しく、希少なものを探している人」ではないだろうかとウィンストンさんは話す。

 オークションハウス「ドルーウェッツ(Dreweatts)」によると、競売は9月23日に開催予定。

 映像は8月6日撮影。(c)AFP/Anna MALPAS