【8月24日 AFP】(更新)米食品医薬品局(FDA)は23日、米製薬大手ファイザー(Pfizer)製の新型コロナウイルスワクチンを正式承認した。感染力の強い変異株「デルタ株」が国内で猛威を振るう中、今回の正式承認によりワクチン義務化の動きが加速することが見込まれる。

 新型コロナウイルスワクチンがFDAの正式承認を受けるのは初めて。ファイザー製ワクチンは昨年12月11日に緊急使用許可(EUA)を受けており、すでに2億人以上が接種を受けている。正式承認により、今後は「コミナティ(Comirnaty)」のブランド名で流通することになる。

 米国民の約52%がワクチン接種を完了しているが、一部の人々は今も接種をためらっており、全国的な接種計画の妨げとなっている。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領はツイッター(Twitter)への投稿で、「コロナウイルスのワクチンは3種とも、FDAの厳しい緊急使用許可の基準を満たしているが、今回のFDAによる承認でこのワクチンが安全かつ、効果的であるとの信頼が高まるはずだ。まだ接種していない人は、今がその時だ」と呼び掛けた。

 FDAは、ファイザー製ワクチンが最新の臨床試験(治験)で90%以上の予防効果を示したことを受け、16歳以上の使用を正式承認した。

 FDAは、同ワクチンによる副反応が疑われる症例として、心筋炎に関する安全性データの調査を継続するとしている。発症リスクは特に2回目の接種後7日以内で高く、女性や高齢男性よりも40歳未満の男性で高いことが判明している。最もリスクが高かったのは12~17歳の男性で、大半は回復するものの、まれに集中治療が必要となる人もいる。

 米軍はFDAの発表直後、軍組織内でのワクチン接種義務化を発表。多くの民間企業や大学も後に続くと予想される。ニューヨーク市は発表直後、教育局の全職員に対し、9月27日までに少なくとも初回のワクチン接種を終えることを義務付け、接種の代わりに定期的検査を受ける選択肢も認めない方針を発表した。

 12~15歳の子どもに対しては引き続き緊急使用許可の下で接種が許可されるが、今回の正式承認により、12歳未満の子どもも医師の判断で接種が可能となる。だがFDAのジャネット・ウッドコック(Janet Woodcock)長官代行は、低年齢の子どもに対する「適用外」使用については、年内に予定されている治験データの提出までは推奨しないとした。(c)AFP/Issam Ahmed