【8月23日 Xinhua News】中国地質大学(武漢)地球科学学院の韓鳳禄(Han Fenglu)副教授のチームが以前、河南省(Henan)で野外調査をした際に入手した卵の化石が、約1億年前の胚の化石で、既に絶滅した巨大な体を持つ南雄亀(Nanhsiungchelyidae)が産んだ卵であることが確認された。同大学がこのほど明らかにした。

 カメやスッポンの起源は三畳紀後期にさかのぼり、2億年以上にわたり地球上に存在している。世界中に多くのカメの骨や卵の化石が保存されているが、胚の化石はほとんど見つかっていない。今回の発見は古生物学専門家が河南省で見つかった白亜紀の胚の化石を初めて詳しく研究したもので、胚に基づいて特定の成体の属や種が明らかになった珍しいケースといえる。

 韓氏は「この化石は鶏卵ほどの大きさで、球形をしており、卵殻は非常に厚く、卵殻の破損箇所から骨格と思われる構造が見つかった」と述べ、高分解能CTスキャンにより、化石の3D画像を再構築することで、研究者はカメの胚の化石であることを確認したと説明した。カメの胚の化石が中国で報告されたのは今回が2回目となる。

 韓氏によると、化石に保存されていた骨は柔らかく壊れやすい性質で、再構築が難しい。CT画像を見ると胚の骨は関連付けられておらず、細い骨から全体を再構築するのは困難を極めた。研究者は1年かけて、内部の骨の形態の正確な再構築に努めた。

 卵を産んだカメの種類をどのようにして解明したのか。韓氏のチームは、カナダの研究者や中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の研究者と協力し、化石の系統的研究を実施。この化石の卵殻の厚さが約2ミリで、現存するカメの成体の卵とサイズや重さが関数関係にあることを利用して、化石のカメの成体が体長1・6メートルになると推定し、最終的に体型や骨格の特徴、産地と地層上の位置から、南雄亀科の南陽豫亀(Yuchelys nanyangensis)と分類した。

 この1億年前のカメの卵はなぜ、非常に厚い殻を持っていたのか。また、当時のカメはどのような環境で生きていたのか。これらの問題について、研究者はさまざまな仮説を立てている。この厚い卵殻は異常に過酷さを増した環境に適応するためのものと考えられているが、具体的な影響要因については、さらなる研究を必要としている。

 研究成果は、国際生物学誌「英国王立協会紀要B」電子版に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News