【8月22日 AFP】米カリフォルニア州に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン偽情報と闘うスーパーヒーロー「キャプテン・エンパシー(Captain Empathy)」が登場した。

 ロサンゼルス近郊サンバーナーディーノ(San Bernardino)の教育演劇シアターに登場した黄色いマントを着たキャプテン・エンパシーは、医学を武器に憎き敵「コロナウイルス」と戦うスーパーヒーローだ。

 ディレクターのバレンティナ・サナブリア(Valentina Sanabria)氏は、「ワクチンの重要性を、特に若者に教育する目的がある」と説明する。マイクロチップが埋め込まれているといううわさや、十分検討されておらず、人々を教育する時間もとっていないなどの理由で、ワクチンに抵抗する人は多いという。

 米国ではワクチン接種は無償で、12歳以上の希望者は誰でも受けることができるところが多い。だが、接種を完了した人は対象者の51%にとどまっている。

 医師らは、感染力の強い変異株「デルタ株」によって感染者が増えており、接種率の低さを懸念している。デルタ株の感染者は、特に保守的な南部の州、人種的マイノリティー、貧困層のワクチン未接種者に多いという。

「キャプテン・エンパシー対Covid-19(Captain Empathy vs. Covid-19)」は、ワクチンに懐疑的な人たちに対抗するためのコミュニティーの取り組みの一環。劇では、とげとげの悪役がワクチンの効果に関するうそを広げる一幕もある。

 キャプテン・エンパシーを演じるナタナエル・チャベス(Natanael Chavez)さんは、「偽情報に反撃するためにこの劇をやっている」と話す。「ワクチン未接種は、家族全員を危険にさらす」

 偉大な力には大きな責任も伴う。だが、キャプテン・エンパシーはその力にふさわしい責任感で、任務を果たしている。ワクチン接種に懐疑的だったキャストの少なくとも一人は、接種に前向きになっている。

「もう新型コロナに感染し、抗体があるので、ワクチン接種は必要ないと思っていた」と、ジュリア・ペレス(Julia Perez)さん(26)は話す。ペレスさんは、ワクチン接種を最初は拒否するが、後に受け入れる女性の役を演じている。

「ここで、ワクチン接種の重要性が分かった」とペレスさん。今ではワクチン接種の予約をしようと思っている。

 映像は8月19日撮影。(c)AFP