【8月21日 AFP】ロシアの野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏の毒殺未遂事件から1年となる20日、同国を訪問したドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相はウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談し、ロシアで収監されているナワリヌイ氏の釈放を求めた。

 ナワリヌイ氏は1年前、何者かに神経剤を盛られ一時重体となったが、搬送先のベルリンでの治療により一命を取り留めた。事件にロシア政府が関与したとの見方を示しているメルケル首相は、ロシア大統領府でプーチン氏と開いた共同記者会見で、「プーチン大統領にナワリヌイ氏の釈放を要求した」と説明。「われわれがこれからもそれ(釈放要求)を続けることを明確に伝えた」とし、ナワリヌイ氏をめぐる状況は「悲惨」だとの見解を示した。

 一方、自身がナワリヌイ氏毒殺を命じたことを否定し、公の場で同氏の名を口にすることを拒むプーチン氏は、同氏を「被告人」と呼んだ上で、収監の理由は政治活動ではなく「犯罪」行為に及んだからだと説明。「ロシア連邦の司法決定には敬意を払うよう要請したい」と述べた。

 これに先立つ19日には、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領もプーチン氏との電話会談でナワリヌイ氏の釈放を要求。英国は20日、同氏の毒殺未遂に関与したとされるロシア連邦保安局(FSB)職員らに対する新たな制裁を発表した。

 メルケル氏のロシア訪問は、来月の首相退任前で最後となる。首脳会談ではこのほか、アフガニスタンやウクライナも議題に上った。(c)AFP