【8月20日 AFP】イスラム主義組織タリバン(Taliban)に制圧されたアフガニスタンで、全人口の3分の1に相当する1400万人が深刻な飢餓か、餓死寸前の「急性飢餓」の危機に直面していると、国連(UN)の世界食糧計画(WFP)が警鐘を鳴らした。紛争と地球温暖化に伴う干ばつが複合的に影響しているという。

 首都カブールからAFPの電話インタビューに応じたWFPアフガニスタン事務所のマリーエレン・マクグローティ(Mary-Ellen McGroarty)代表は、「2021年はアフガニスタンにとって特に困難な年だ」と述べ、「恐るべき人道危機が進行している」と警告。自身とWFPは「今、何よりも必要とされている人道支援を行うため」現地にとどまる考えを示した。

 マクグローティ氏によるとアフガニスタンは、戦闘と国内避難民の増加に加え、この3年間で2度目の厳しい干ばつに見舞われている。

「状況は悲惨だ。最新の分析では、1400万人がすでに深刻な、あるいは急性の飢餓の瀬戸際にある」と同氏は述べ、200万人の子どもたちが栄養失調に陥る恐れがあると指摘した。

 過去30年で特に乾燥が激しい時期を経て、小麦の生産量は40%減少。「家畜にも壊滅的な影響が出ている」としている。

「紛争が全土で激化する中で、農家は作物を収穫できずにいる。皆、家を離れて逃げている」とマクグローティ氏は説明した。地域によっては、橋やダム、道路といった市民生活に欠かせないインフラだけでなく、果樹園も破壊されている。こうした複合的な要因で、食料品の価格が高騰しているという。

 WFPはアフガニスタン各地に480人のスタッフを有し、うち440人をアフガニスタン人が占める。

 マクグローティ氏は、WFPにとっての最優先事項はアフガニスタンにとどまり、国民を安全に支援することだと主張。「われわれは、どちらの側にもつかない」と述べ、「妨害を受けることのない人道的アクセス」を確保するため交渉していると語った。

 また同氏は、年末までに900万人に支援を届けたいとし、「厳しいアフガニスタンの冬」が訪れる前に、冬場は往来が困難になる地域に十分な食料を届ける必要があると強調した。(c)AFP/Nicolas GUBERT