【8月20日 AFP】セルビアの政府系メディアは19日、ツイッター(Twitter)が多くの同国メディアのアカウントに「国家当局関係」というラベルを付けたことに猛反発した。ツイッターをナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)になぞらえた新聞もある。

 ツイッターは今週、セルビアのほとんどの有力紙とセルビア放送(RTS)などの政府系テレビ局のアカウントに「国家当局関係」のラベルを付けた。

 ツイッターによると、国家当局関係メディアとは、「国家が財源や直接的・間接的な政治圧力をもって報道内容を統制したり、制作および配信を管理したりする報道機関」のことを指す。

 ポピュリストのアレクサンダル・ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領率いる与党・セルビア進歩党は、批判的なジャーナリズムを排除し、メディアの所有権を友好的なオーナーに集約しているとして、人権団体が非難を強めている。

 ブチッチ氏は、国家当局関係ラベルは付されたメディアに対する「称賛」であり、メディアが政府に協力するのは普通のことだと述べた。

 さらに、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領に言及し、「これで実際に検閲しているのが誰なのか分かっただろう。ツイッターが私のアカウントを凍結するのが待ち遠しい。アカウントを凍結されれば、第2のトランプとなることができる」と地元メディアに語った。

 RTSは、国家当局関係のラベル付けを政治的と呼び、抗議としてツイッターへの投稿を全面的に停止する方針を明らかにした。

 政府系タブロイド紙インフォーマー(Informer)は19日付の1面トップ記事でヒトラーの記事を使い、ツイッターを「プロパガンダ兵器」と呼んだ。

 欧州議会(European Parliament)は最近、セルビアで報道の自由が低下していると警告した。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」も、セルビアのフリージャーナリストらは毎日のように政府系メディアに攻撃されていると指摘している。

 ツイッターは昨年、セルビア反体制派と独立系メディアを批判するツイート約4300万件を組織的に投稿していた8500以上のアカウントを削除していた。(c)AFP