【8月19日 People’s Daily】10年前に、中国甘粛省(Gansu)の楡中県(Yuzhong)中連川小学校に馬安武(Ma Anwu)校長が来て以来、この小学校では多くの変化があった。サッカーチームができ、子どもたちは試合を通して外の世界を知る機会を得た。

 甘粛省楡中県中連川小学校は典型的な田舎の寄宿学校だ。標高2300メートル強の黄土高原にあり、県の一番大きい町から車で1時間半かかる。60人の生徒のうち3分の1は1人親家庭の出身、半分近くの親は出稼ぎで田舎を出ており、ほとんどの生徒は遠出をしたことがない。「昔だったら、中学を卒業したら、みんな出稼ぎに行く」と言われる。

 馬安武校長が来てから、変化が現れた。蘭州市(Lanzhou)の名門中学校に合格する生徒や、職業アスリートの道を進む生徒も現れ、「山間の子どもの将来に光が見えた」と、保護者は喜んだ。

 近頃、第4回蘭州市青少年学校対抗サッカー大会の決勝で、中連川小学校は優勝し、馬校長とチームメンバーは喜びを分かち合った。

 10年前には考えられなかったことだ。

 2011年、ほかの地方で教師の仕事を10年近く続けた馬安武氏は副校長として中連川小学校に赴任した。生徒の流出を止めようと、馬先生は放課後の時間を有効活用する方法を考え続け、自身の趣味であるサッカーはどうかと思いついた。

 馬先生の行動は早く、体育室からほこりまみれのボールを探し出し、趣味のサークルをつくり、全生徒を参加させた。誰もサッカーができない状態から自分で教えた。設備も粗末で、バスケットコートほどの広さで砂ぼこりが舞うグラウンドを布靴で走り回った。

 馬先生の予想以上に子どもたちはサッカーに夢中になった。馬先生は動画や研究書で戦術や基礎を学び、毎朝6時10分から基礎練習をし、放課後にはチーム対抗の試合などで技術を磨き、それを10年続けた。

 また、馬先生は東奔西走し、サッカー場を県に造ってもらい、ユニホームやサッカーコート、シューズなど快適に練習する環境を整えた。

 喜ばしいのは、困難に直面しても生徒たちが諦めなかったことだ。5年もたつと、楡中県、蘭州市、そして甘粛省の大会でも優勝できるようになり、さらに全国少年サッカー大会でも成績を残せるようになった。サッカーで学んだことは学業にも生かされ、成績も上がった。

 近年、同校は10人あまりの生徒をプロのファームに送り出し、26人はサッカーに力を入れている学校に選ばれ、10人は世界レベルのチームへの交流プログラムに行った。「小さい頃から興味と情熱を引き出すよう指導すれば、どの生徒もサッカー選手になれるのです」。馬安武先生の考えでは、大事なのは優勝することではなく、サッカー教育を通して子どもたちがサッカーを好きになることなのだ。

 また、馬先生はサッカーが上達することと文化を学ぶことのどちらが欠けてもだめで、「両足で歩くこと」が大事だと考えている。生徒たちがサッカーを通して将来を切り開いていくことが、彼の願いである。(c)People’s Daily/AFPBB News