【8月26日 AFP】下着、空のボトル、新しい足跡──これらは、イランとの国境沿いにトルコが建てている新しい壁の近くに残されたアフガニスタン難民たちの痕跡だ。イスラム主義組織タリバン(Taliban)のアフガン制圧が、欧州の懸念をかき立てている。

 ここまでたどり着けたアフガンの人々は、昼は当局の取り締まりから隠れ、夜はトルコのイズミル(Izmir)やイスタンブールなどの大都市に行く方法を考えながら、何日も過ごすことになる。それらの都市でまた、欧州へ運んでくれるあっせん業者を探すのだ。

 ムハンマド・アリフ(Mohammed Arif)さん(18)は、「カンダハル(Kandahar)から来ました。25日間、路上で過ごしてきました」と言い、トルコの密入国あっせん業者に700ドル(約7万7000円)支払ったが、イスタンブールから程遠いところで降ろされたと語った。

「戻るのは危険です。どこに行けばいいのでしょう」とアリフさんはダリー(Dari)語(ペルシャ語系)で話した。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は国民感情をくみ取り、不正な移民の通過を「完全に阻止」すると約束した。

 トルコは、イランとの534キロの国境沿いに長さ243キロのコンクリートの壁を建設中だ。上部に有刺鉄線を付け、周囲には深い溝を巡らしている。

 アリフさん含め全員が男性のアフガン人数十人は、壁やフェンスのない区域を通ってトルコに入り、ワン湖(Lake Van)西岸にあるタトワン(Tatvan)の線路わきに身を寄せ、仮の避難場所にしている。

 アフガンのマザリシャリフ(Mazar-i-Sharif)からパキスタン、そしてイランへと15日かけてやって来た男性は「アフガニスタンはもうだめです」と語った。

「これからさらに悪くなるでしょう。僕は19歳です。学校やモスクに行きたいけれど、僕の人生は終わりです」 (c)AFP/Fulya OZERKAN