【8月22日 AFPBB News】ネコ、チーター、トラ、ライオン──多くのネコ科の動物は腎臓を悪くして死を迎える。もし、それを阻止できるのなら?

 寿命を飛躍的に延ばす可能性のある研究が東京大学(University of Tokyo)で行われている。

 研究は獣医師ではなく、もともとは臨床医であった宮崎徹(Toru Miyazaki)氏が率いている。「命は命」なのでネコの薬を作ることに違和感はないと語る。

 東京大学教授(免疫学)の宮崎氏は、ネコが腎臓病になるのは、体内で不要なものを掃除するのに要となるたんぱく質が先天的に働かないからだと突き止めた。

 そのたんぱく質自体が掃除をするわけではないが、不要物にくっつき、マクロファージという不要なものを食べる細胞に、自分と一緒にごみをのみ込ませる。研究成果は、「ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)」に2016年に発表された。

 死んだ細胞のごみは除去されないと、尿の通り道にたまり炎症を引き起こし、腎臓機能を低下させる。子ネコの時から、このたんぱく質を補い、たまるごみを常々掃除させておけば、「遺伝病」とも言える腎障害を克服できる可能性が高い。

 今月、宮崎氏の研究についての著書「猫が30歳まで生きる日」(時事通信社)が出版された。複数の獣医師は、腎障害が回避できるのであれば、ネコの寿命は現在の倍の30歳ほどに延びるのではないかと考えている。

 宮崎氏は、このたんぱく質をAIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)と名付け、安定して供給する方法を探っている。化学合成することができないため、培養液の中で細胞に作らせているが、性質や生産量を安定させることが課題だ。

 AIMは経口では分解されてしまうため、注射で投与される。ワクチンのような形で、定期的に接種することを最終的には目指している。