【8月17日 Xinhua News】中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の倪喜軍(Ni Xijun)氏と李強(Li Qiang)氏の研究チームが、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)東部のオルドス盆地西端で採取した豫鼠属(Yuomys)の化石から新種「粗壮豫鼠」を特定した。研究成果はこのほど、国際科学誌「Journal of Vertebrate Paleontology」電子版に掲載された。

 豫鼠属は、ヤマアラシ型の頭蓋骨とリス型の下顎骨を持つげっ歯類の一種で、げっ歯目ヤマアラシ亜目グンディ科に属する。現存するグンディ科の種は多様性が低く、4属5種のみで、地理的分布は北アフリカと東アフリカに限られている。グンディ科の化石の種類は多様性が比較的あり、少なくとも37属が約5600万年前から530万年前までユーラシア大陸に広く分布していたことが分かっている。中国ではこれまでに北部と南西部の12カ所で豫鼠属が分布していたことが判明し、計9種と少数の未同定種が確認されており、年代は約4800万年前から3800万年前の始新世中期に集中している。

 論文筆頭著者の鞏皓(Gong Hao)氏によると、今回発見された豫鼠の新種は、知られている全ての豫鼠の種の中で最も大きく、歯冠が最も高く、歯の先端と歯根が最も太く丈夫で、各頬歯の長さは0・5センチに達し、げっ歯類では大型の部類に入る。そのため新種は「粗壮豫鼠(がっしりした豫鼠)」と名付けられた。豫鼠の歯の特徴の変遷から、生息年代は始新世中期よりやや後で、約3800万年前から3400万年前の始新世後期と考えられている。

 研究チームは豫鼠の体重について、経験式に基づき485~880グラムの間と推定した。倪氏は「体重は通常のチンチラの約2倍で、ラットの2~3倍」と説明。「粗壮豫鼠」の新種と既知の他種を比較すると、始新世中期の早い時期から後期にかけて、豫鼠属の頬歯が次第に大型化し、歯冠がより高くなり、体重が増加するという進化の傾向が判明したと述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News