【8月17日 AFP】中国政府の新型コロナウイルスを完全に抑え込むゼロコロナ政策に疑問を呈した同国の新型ウイルス対策トップが、論文盗用の疑いで調査を受けている。

 復旦大学(Fudan University)の感染症専門家、張文宏(Zhang Wenhong)医師は、米政権の首席医療顧問アンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)氏にちなみ、国営メディアに「中国のファウチ」と呼ばれている。

 張氏は7月29日、中国版ツイッター(Twitter)の微博(ウェイボー、Weibo)に、各国には新型ウイルスと共存する知恵が必要だと書き込み、ゼロコロナ政策に疑問を投げ掛けた。「中国が今後選択する方法は(中略)世界とのコミュニケーションを確立し、通常の生活に戻ることを促す一方、国民をウイルスの恐怖から守ることだ」

 だが、ゼロコロナ政策の緩和を提案する投稿は、同国のソーシャルメディアを監視する国家主義者の猛反発を招いた。

 張氏は「外国の思想に迎合している」と非難され、あら探しも始まった。ウェイボーには、張氏が20年前に発表した博士論文に盗用があると投稿された。

 復旦大学は15日、「ネット上の批判は認識しており、2000年に張氏に授与した学位について調査を開始した」と発表した。

 AFPは張氏に調査に関するコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 学界は張氏を支持しているが、中国において政府が認めていない新型ウイルス関連情報は、取り扱いに細心の注意を払わねばならず、扱いを間違えると逮捕され、ソーシャルメディアで中傷の的となる恐れもある。

 復旦大学中国文学科のヤン・フェン(Yan Feng)氏はウェイボーで「今後、専門家としての判断に従って声を上げ、行動する人がいるだろうか?」と述べた。

 江西(Jianxi)省では先週、「(中国は)新型コロナウイルスと共存できる」というニュース記事にコメントした教師が、警察に15日間勾留されたことが地方自治体の発表で明らかになった。(c)AFP