【8月22日 AFP】白いブラウスにゆったりしたスカートとエプロンが印象的な、アルプス(Alps)の民族衣装「ダーンドル」。近年、オーストリア国内だけでなく、世界的にもファッション好きの間で新たなファンを獲得している。

 ダーンドルをはじめ庶民的な魅力を持つ伝統衣装は、オーストリアの衣料産業の中核を成している。同国の商工会議所によると、伝統衣装の約70%は輸出されている。

 挑発的なパンクデザインで有名な英国のデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)さんまでもが、ぴったりした胴着が特徴のダーンドルに魅了されている。

 オーストリアで開催中の展覧会「ダーンドル─伝統からファッションへ(Dirndl - Tradition goes fashion)」は、山岳地方で生まれたダーンドルがファッションショーに登場するまでの軌跡を約50着の展示とともにたどっている。

 開催地のバートイシュル(Bad Ischl)は、山と湖水が美しいザルツカンマーグート(Salzkammergut)地方に位置する温泉保養地として知られる。この地方はチロル(Tyrol)州やドイツ南部のバイエルン(Bavaria)州と並び、ダーンドル発祥の地の一つだ。

 オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世(Franz Josef)と皇后エリザベート(Elisabeth)も避暑に訪れていた。会場となっているのは、ヨーゼフ1世がエリザベートに贈ったコテージ「マノンシロッシ(Marmorschloessl)」だ。

 展覧会のキュレーターを務めるテクラ・バイセングルーバー(Thekla Weissengruber)氏は、ダーンドルは「オーストリアにとって、スコットランドのキルトや日本の着物のようなものです」と語った。(c)AFP/Blaise GAUQUELIN