【8月16日 AFP】ボクシングの元ヘビー級世界王者、故モハメド・アリ(Muhammad Ali)氏の孫ニコ・アリ・ウォルシュ(Nico Ali Walsh、米国)が14日、半世紀前に祖父が着用したトランクスをはいてプロデビュー戦に臨み、1回TKO勝ちした。

 オクラホマ州タルサ(Tulsa)で行われたミドル級の一戦で、ウォルシュは対戦相手のジョーダン・ウィークス(Jordan Weeks、米国)から強烈な右でダウンを奪うと、その後も手を緩めず、1分49秒でレフェリーストップとなった。

 祖父から譲り受けた白と黒のトランクスをはいたウォルシュは、「最高の夜だった。期待に完璧に応えることができた」と喜び、「とても感動的だ」とコメントした。

「大きなプレッシャーがあるようにも見えるが、自分にとっては祖父という存在にすぎない。他のみんなにとって彼は史上最高のファイターで、最も偉大な人物なのかもしれないが、自分にとっては最も偉大な祖父だ」

「このトランクスはもうはかない。これは祖父のトランクスだ。とても感動的だ。夢がかなった。本当に大きな意味がある」

「祖父のことをずっと考えている。彼がいなくて寂しい。感動的な旅になった」

 現在21歳のウォルシュはアリ氏の娘ラシェダ(Rasheda Ali)さんの息子で、同家3世代目のボクサーとなった。

 56勝5敗(37KO)の戦績を残したアリ氏は、ベトナム戦争での兵役拒否により全盛期に3年間の出場を禁止されたものの、1960年代から70年代にかけてヘビー級王者として席巻。その後別の娘のレイラ(Laila Ali)さんもスターボクサーとなった。

 ウォルシュはファイトから一夜明けた15日、インスタグラム(Instagram)を更新し、「プロボクサーとして彼のショーツをはくのは最初で最後だが、そうすることで祖父をリングに連れてこられた。『レガシーは続く』と言えることを何より誇らしく思う」 とつづった。(c)AFP