【8月16日 AFP】アフガニスタンのアシュラフ・ガニ(Ashraf Ghani)大統領は15日、旧支配勢力タリバン(Taliban)が勝利したと発表した。ガニ氏はこれに先立ち、タリバンが首都カブールを包囲している間に、国外に脱出した。

 タリバンはガニ氏の脱出後に市内に入り、大統領府を掌握。わずか10日で全土の制圧を確実なものとした。タリバンは全土で電撃戦を展開し、米軍の支援のない政府軍は総崩れとなった。米軍は8月31日の期限に向けて完全撤退を進めている。

 タリバンの全土制圧が目前に迫る中、1996~2001年の旧政権時代のようにイスラム法を厳格に適用するのではないかと恐れる市民の間で、パニックが起きた。

 ガニ氏は出国後、「タリバンは剣と銃によって勝利し、今は同胞の名誉と財産、自衛の責任を担っている」とフェイスブック(Facebook)に投稿した。

 さらに、「彼らは今、新たな歴史的試練に直面している。アフガンの名声と名誉を守るのか、それとも他の場所や組織を優先するのか」と述べ、流血を避けるために出国したと説明した。

 ガニ氏は出国先を明らかにしていないが、アフガンの大手テレビ局トロニュース(Tolo News)は、タジキスタンだとしている。

 タリバンの報道官は、当初は戦闘員にカブール市外での待機を命じていたが、「治安を確保するため」複数の地区に入ったと認めた。

 タリバンの幹部筋3人はAFPに対し、戦闘員らが大統領府を掌握し、カブールの治安について協議したと明らかにした。

 衛星放送アルジャジーラ(Al-Jazeera)は、戦闘員らが大統領府内で勝利を宣言する様子を報じている。

 一方、アフガン政府でタリバンとの和平交渉を担当するアブドラ・アブドラ(Abdullah Abdullah)国家和解高等評議会議長はフェイスブックに投稿した動画で、「前大統領は国を去り、国民をこのような状況に置き去りにした」と述べた。

 タリバンは数か月にわたる政府との和平交渉で、ガニ氏の辞任を求めてきたが、同氏はかたくなに拒否してきた。タリバンは、数日中の「平和的な政権移譲」を望むとしている。(c)AFP/Jay DESHMUKH / David FOX