【8月18日 AFP】国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士らは、極めて異色の客を出迎えた。その客とは、10日に地球周回軌道に打ち上げられた「ブロブ(Blob)」だ。

 同名の映画で地球に降り立った地球外生命体さながらブロブと呼ばれる粘菌は、分類が難しい生き物だ。植物でも動物でも、キノコやカビでもない。

 それ故に長年、科学者らを魅了してきた真正粘菌の一種「モジホコリ(Physarum polycephalum)」が今回、ユニークな実験に参加する。この実験は上空400キロにいる宇宙飛行士と、フランスにいる多数の学生によって同時進行で行われる。

 真正粘菌が地球に最初に現れたのは約5億年前。その体は多数の核を持つ一つの細胞で構成されていることから、従来の生物学の常識を覆す存在となっている。

 ほとんどの生物は細胞の分裂と増殖を通じて成長し、繁殖するが、モジホコリはそうではない。

「一度も分裂せずに成長する単細胞生物です」と説明するのは、フランス国立宇宙研究センター(CNES)で実験プロジェクトを推進する一人、ピエール・フェラン(Pierre Ferrand)教授(地球生命科学)だ。

 もう一つ、モジホコリが風変わりな点は「大半の生物では性別は2種類だが、粘菌の性別は720種類以上もある」ことだと言う。