【8月13日 AFP】世界保健機関(WHO)は12日、中国に対し、新型コロナウイルス流行最初期の患者についての生データを共有し、論争の的となっている研究所流出説に関する情報を公開するよう求めた。

 新型コロナウイルスは2019年12月に中国・武漢(Wuhan)で最初に発見されて以来、少なくとも430万人の死者を出し、世界的な経済危機を引き起こした。WHOは、過去100年で最悪のパンデミック(世界的な大流行)がどのように引き起こされたのかを解明することは「極めて重要」だと強調。「調査の次段階が可能な限り早期に実施できるよう、必要なすべてのデータとアクセス」を提供するよう各国に呼び掛けた。

 WHOの国際調査団は今年1月、大幅な遅延の末、武漢での現地調査を実施。中国の関係者らと共に第1段階の調査結果をまとめた報告書を作成し、3月に公表した。

 報告書は明確な結論を出さず、起源をめぐる諸説を可能性の高低に基づいて順位付けする内容で、ウイルスがコウモリから別の動物を媒介してヒトへと伝染したとの説が最も信ぴょう性が高いとされた一方で、武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)から流出したとの説は「可能性が極めて低い」とされた。

 だがこの調査については、透明性と関連データの入手が不足しており、研究所流出説についての検証が十分になされていないとの批判が噴出。米国も圧力を強めていた。

 WHOは12日、起源調査の第2段階についての声明を発表。その中で、この調査は誰かに「責めを負わせる」ものでも、政治的争いのために行うものでもないと強調した。

 WHOは、保管されていた2019年の検体から新型ウイルスを検出したイタリアなどの国々と協力し、調査を進めていると説明。「生データを共有し、イタリア以外の研究所にある検体の再検査を許可することは、最高の形での科学的団結を意味するものであり、われわれが起源調査を早急かつ効果的に進めるべく中国を含むすべての国々に支援を奨励していることと何ら違いはない」と指摘した。(c)AFP