【8月12日 CGTN Japanese】中国北西部の世界自然遺産、青海省(Qinghai)可可西里(ココシリ、Hoh Xil)。この地域固有の野生動物で、絶滅危惧種として知られるチベットカモシカ。毎年6月下旬から7月中旬にかけて、出産を控えるメスのチベットカモシカは、青海省にある繁殖地「三江源」へ移動して新しい命を迎えます。出産が終わった後、今度は生息地への帰還を目指して、子連れの大移動が始まります。

 今年は、この大移動が8月に始まり、毎日数百頭のチベットカモシカが道路などを横断しています。チベットカモシカが無事に移動できるよう、保護当局は大群が必ず通る鉄道や道路付近で、臨時交通規制やクラクションを鳴らさないよう勧告し、そのうえ、熊などの天敵から守るようパトロールや救援体制をつくって保護にあたっています。 ここ数年、密猟防止法の強化や生息地の生態修復により、チベットカモシカの数が劇的に増加し、1980年代の7万頭足らずから、今のおよそ30万頭に増えています。そのため、絶滅の恐れのあるランクでは、以前の絶滅危惧IB類(EN)から現在では準絶滅危惧(NT)に引き下げられました。

 なお、400キロメートル以上もある大移動は、生まれたばかりのチベットカモシカの赤ちゃんにとっては過酷な試練です。生きて生息地にたどり着く割合は、2割から3割にとどまっているそうです。それでも、平均標高4000メートル以上の青海チベット高原では、チベットカモシカの子連れの大移動は毎年繰り返されており、自然の摂理を感じさせます。(c)CGTN Japanese/AFPBB News