【8月12日 AFP】モザンビーク沖のコモロ諸島(Comoros islands)出身の家族15人を乗せた船が故障して、22日間インド洋を漂流し、妊婦とその子どもたちを含む7人が餓死した後、1100キロ以上離れたケニア沿岸で発見された。同国の沿岸警備隊が11日、明らかにした。

 生存者らは、3週間の過酷な体験を語った。これによると、15人はコモロ諸島の一つで、コモロ連合に属するヌズワニ(Ndzuwani、別名アンジュアン)島から船に乗り、2日かけて同じくコモロ諸島のフランス領マヨット(Mayotte)島を目指していたところ、出発直後に船が故障した。

 ケニア沿岸警備隊はAFPに対し、スクリューが外れ、船は強風によって1100キロ以上離れたケニアのリゾート、マリンディ(Malindi)に漂着したと語った。乗っていた人々は「なすすべもなく」、22日間にわたりインド洋の激しい波に翻弄(ほんろう)されたという。

 妊娠中の女性とその夫、子ども2人を含む7人が途中で餓死した。

 生存者らはケニアの主要紙デーリー・ネーション(Daily Nation)に、遺体が腐敗してきたので、海に遺棄せざるを得なかったと話している。

 8人は、生魚と海水で生き延びながらケニアにたどり着いた。地元の漁師らによって9日、意識不明で脱水症状に陥っていたところを発見された。沿岸警備隊によれば、ケニア海軍が派遣した医療従事者が治療に当たっている。

 生存者の一人はデーリー・ネーションに対し、乗船していた15人は家族だと明かしている。一家が航海していた理由は、今のところ分かっていない。

 マヨット島には近年、貧困率が高く、治安が比較的悪いコモロ諸島や、サハラ以南のアフリカ諸国から移民が大量に流入している。(c)AFP