2015年に国連サミットで採択され、様々な場面で目にすることも多いSDGs。達成の目標とされた2030年まで残り10年を切った。
 今年6月の国際レポートによる日本のSDGs達成度ランキングは、昨年より順位を1つ下げたものの165ヵ国中第18位。また、優れた取り組みを行う企業や団体等を政府が表彰する「ジャパンSDGsアワード」は今年5回目を数え、年々応募件数が増加するなど、国内のSDGsへの関心は増々高まっている。
 そうした中でSDGsの目標達成に向けて私たちはどんなことができるのか、企業はどんなことに取り組んでいるのかを見渡してみると、一見、SDGsとは縁遠いようにも見える自動車が実はSDGsの目標達成に向けて大きな力を発揮していることがわかった。

日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」

 SDGsの17の目標は、電気の節約やマイボトル使用による環境配慮、食品の買いすぎや作りすぎをなくし、残りものは冷凍するといった身の回りの事から、社会全体として取り組まなくては達成できないものまで、その領域は多岐にわたる。
 各企業も様々な取り組みを推進している中、電気自動車(以下EV)「日産リーフ」の累計販売台数が世界で50万台以上、日本では15万台を越え、リーディングカンパニーとして使命を持って日産自動車が取組んでいるのが、日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」だ。

 これは単にCO2排気ゼロのEV普及だけを達成しようというものではなく、「クルマも、道路も、街も、社会も、もっと美しい“ブルーに”、日本をもっと美しい国に」という想いのもと、全国の自治体や企業と協力し、EV普及を通じた活動推進により、環境、防災・減災、エネルギーマネジメント、観光、過疎化などの課題解決を図り、SDGsの達成貢献を目指しているものだ。

ブルー・スイッチの活動フレームとSDGsとの親和性

 「ブルー・スイッチ」活動は2018年にスタート。EVの価値を活かし、各地域との密接な連携による課題解決の取り組みを続け、その数は138件にも及ぶ(2021年7月末時点)。

地域課題解決のためのEV活用とソリューション

 具体的な活動例として、小田原市と長野県の取り組みを紹介したい。

 小田原市は2019年7月、『人と人とのつながりによる「いのちを守り育てる地域自給圏」の創造』をスローガンとし、「SDGs未来都市」に選定されると共に特に先導的な取り組みである「自治体SDGs モデル事業」にも選定されている。

 同市と日産自動車各々が推進する取り組みに互いが賛同し、日産の販売会社と共にEVの活用連携をスタートさせた。
 EVの蓄電機能を活用した災害時の電力供給体制強化や避難所の円滑な運営をはじめ、小田原市が進める脱炭素型地域交通モデルに関するEV活用として、新たなライフスタイルにおけるリモートオフィスやワーケーションの推進などが活動の一例である。両者は今後もこの協定を機に、平時と災害時の両面でさらなるEV活用を推進していくという。

 また、今年6月に締結された長野県との「しあわせ信州の実現及びSDGsの達成に向けた包括連携協定」を見てみよう。
 長野県は、県の総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン2.0」をSDGsの行動計画に位置付け、2018年6月に「SDGs未来都市」に選定された。「誰一人取り残さない」という理念のもと、持続可能な地域社会の実現に向けてSDGsの取り組みを推進している。

 日産自動車は、EVの積極的な活用を通じて地域課題への対応、県民サービスの向上、活力ある個性豊かな地域社会の形成と発展への貢献を目指している。下表が今後進められていく主な活動だが、エネルギーや災害対策のみならず、教育にも踏み込んだ全方位的な取り組みで、行政とともにより人々の生活に寄り添ったものになっている。

しあわせ信州の実現及びSDGsの達成に向けた包括連携協定

 小田原市、長野県の他にも、岩手県陸前高田市での花火大会運営の電力供給や熊本県阿蘇市でのEV活用による環境面に配慮した観光推進の取り組み、石川県白山市や金沢工業大学と共に山間部でのEVカーシェアを用いた地産地消の再生可能エネルギー運用の研究など、「ブルー・スイッチ」の活動は広く多彩だ。
 こうした活動からも、EVが単なる“クルマ”や“エコカー”という枠に留まらない、社会インフラの一部として価値があることがはっきりと見えてくる。
 日産自動車の取り組みは、EVというクルマの販売に留まらず、EVがもたらす豊かな生活の実現、よりよい社会づくりへの貢献を目指したものと言えるであろう。