官荘遺跡で世界最古の貨幣鋳造所を発見 河南省
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【8月11日 Xinhua News】中国河南省(Henan)の鄭州大学(Zhengzhou University)考古学チームはこのほど、同省滎陽市(Xingyang)の官荘遺跡で見つかった銅鋳造工房が、紀元前640~同550年に金属本位貨幣の鋳造を始めていたことを放射性炭素年代測定で確認したと明らかにした。
同遺跡は、西周から春秋時代中期にかけての保存状態の良い都市遺跡で、紀元前約800年に建設され、同約450年に遺棄された。2010年に始まった発掘調査では広大な手工業工房跡が見つかり、銅の鋳造や陶器・骨器の製造など各種手工業活動が行われていたことが分かった。
同校考古学科の韓国河(Han Guohe)教授によると、青銅鋳造工房は大城内の中央部北側にあり敷地面積も広大だった。発掘調査では柄が空洞の「空首布」などの布幣鋳造に関連する4種類の遺物が見つかった。
発掘チームを率いた郜向平(Gao Xiangping)氏は「発掘現場から鋳造廃棄物を大量に捨てた坑が見つかった。一つの坑からは金属貨幣の完成品が2枚出土し、うちSP-1と名付けた方は、復元した長さが143ミリ、幅が63・5ミリだった」と説明。遺跡から出土した貨幣は春秋戦国時代に流通していた空首布で、中国で最も早い時期に鋳造された金属貨幣の一つだと語った。
調査の結果、同遺跡で銅の鋳造が始まったのは紀元前814~同750年で、その後の約150年間で青銅製の礼器や武器、車馬器などを集中的に生産していたことが分かった。貨幣の製造は紀元前640~同550年に始まり、工房では青銅製の礼器や武器の生産と並行して金属製の本位貨幣も鋳造するようになった。
今回の年代データは中国の初期貨幣鋳造遺跡に関する最初の絶対年代情報となり、同遺跡は放射性炭素年代測定で確認できる世界最古の貨幣鋳造工房遺跡となった。研究成果は考古学学術誌「Antiquity」に掲載された。
韓氏は、人類の経済発展史で金属本位貨幣の鋳造は極めて重要な節目になると説明。貨幣鋳造工房は貨幣が生産された年代を研究する上で明確な考古学的根拠になるだけでなく、金属貨幣の発展過程における社会・経済メカニズムも反映していると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News