【8月11日 AFP】タイの首都バンコクで10日、民主改革と政府の新型コロナウイルス対策を批判する反政府デモが行われ、参加者数百人に対し、機動隊が放水砲やゴム弾、催涙ガス弾を発射した。

 タイでは新型コロナウイルスの1日当たりの感染者数が約2万人となっており、過去最大の感染拡大を食い止めるために公の場での集会が禁止されているが、デモ参加者らはこれを無視し集まった。

 デモでは数百人が、バイクや車でバンコク市街を走り、夕方までに複数の衝突が発生した。

 警察の交通整理ブース2か所が放火された。デモ隊の一部は、放水砲やゴム弾、催涙ガスを使用した機動隊に向かい、爆竹や花火を投げ付けた。

 アヌティン・チャーンウィーラクン(Anutin Charnvirakul)保健相とつながりがあるゼネコン大手シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクション(STEC)のロゴを豚の血で汚す参加者もいた。また、政府支持で知られる免税大手キングパワー(King Power)のロゴも標的となった。

 デモに参加したある学生は「独裁を敷くプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)政権は、支配層に利益を要求、配分、分配し続けており、市民が病気になり死んでいこうが無関心だ」と訴えた。

 首都圏警察のピヤ・タウィチャイ(Piya Tawichai)副長官は記者団に対し、デモ参加者が暴力や石、爆竹などさまざまな武器を使用したため対応したと説明した。

 ピヤ氏は、手製の銃で1人が太ももを撃たれるなど、警察官6人が負傷したと述べた。

 警察は、デモ参加者6人を拘束し、バイク100台近くを押収した。

 エラワン救急医療センター(Erawan Emergency Medical Centre)は、デモ隊側の負傷者の報告は受けていないと述べた。

 昨年から続く若者が大半を占める反政府デモは、元陸軍司令官で2014年のクーデターを主導したプラユット首相の退陣と、長年タブーとされてきた強大な権力と膨大な資産を有するタイ王室の改革を求めている。(c)AFP