【8月11日 People’s Daily】中国人力資源・社会保障省などの3部門は、集積回路(IC)エンジニアリング技術者、企業コンプライアンス士、飲料調合師など18種類を新職業に認定したと発表した。2019年以降に国の職業標準リストに入った新職業はこれで計56種類となった。

 中国の各産業では近年、デジタル技術が急速に浸透しており、企業はデジタル化に向けたビジネスの変革を求められている。その流れに沿って、デジタル化管理士、オンライン学習サービス士、マルチメディア運営士などの新職業が誕生。また、デジタル技術の発展によりプラットフォーム経済が勃興したことにより、ネット配達員やオンラインタクシー運転手などの新職業も登場している。

 製造業のモデル転換・スマート化のペースも加速し、技術的能力の高い新職業も生まれている。産業用ロボットシステムオペレーターや量子アルゴリズムエンジニアといったSFの世界のような職種が現実のものとなっている。中国の製造技術を世界に示すスローガン「中国製造(メードインチャイナ)」から、先端技術を世界に示す「中国智造(スマートチャイナ)」にレベルアップを図っている。

 国民の生活水準向上に伴い、社会のニーズも変化している。健康管理士、呼吸療法士、リハビリ・補助技術アドバイザー、高齢者能力評価士などの新職業も現れ、健康維持や介護、食品の安全性などへの関心が高まっていることを象徴している。

 また、「趣味エコノミー」にまつわるニーズも細分化された職業を生み出した。若者の間で人気の密室エンターテインメント業界では、密室推理や密室脱出ゲームのシナリオライター、音響効果スタッフ、運営スタッフなどの職業が誕生している。

 自由に働くことでき、自分の趣味と結びつき、自分の能力を実現できる舞台…。新職業には若者が求めている要素が備わっている。「青年職業アドバイス」リポートによると、若者の5割以上が「新職業を体験してみたい」と答え、既に2割近くが実際に関連職業に従事している。

 人力資源・社会保障省が発表した「新職業-デジタル化管理士就業リポート」によると、デジタル化管理士の87%は、各地の平均月給並みから3倍までの収入がある。デジタル化管理士を雇用している企業の作業効率は、雇用していない企業より35~50%高いという。2019年に新職業のリストに入って以来、デジタル化管理士は200万人を超えている。

 新職業には今後、大きな可能性が広がっている。人力資源・社会保障省の職業訓練技術指導センターが発表した「新職業オンライン学習プラットフォーム発展リポート」によると、今後5年間で新職業の需要は膨大となり、クラウドコンピューティングエンジニアは約150万人、モノのインターネット(IoT)エンジニアは約500万人、ドローン操縦士は約100万人、農業マネジャーは約150万人、人工知能(AI)スタッフは約500万人、建築情報模型技術者が約130万人、産業用ロボットシステムオペレーターと運営管理者は125万人必要となり、合計で1000万人以上の人材が不足するという。(c)People’s Daily/AFPBB News