【8月10日 AFP】ロシアの気象当局は9日、シベリア(Siberia)地方の森林火災の延焼が続いていると発表した。米航空宇宙局(NASA)の衛星画像によると、煙は北極に達しているという。

 ここ数年、シベリアでは壊滅的な森林火災が以前よりも頻繁に発生している。ロシアの気象当局や環境保護団体は、気候変動や森林当局の資金不足が原因だと指摘している。

 今年、シベリアで最も大きな被害を受けた地域の一つがサハ(Sakha)共和国だ。永久凍土の上に位置するロシア最大の寒冷地だが、記録的な高温と干ばつに見舞われている。

 ロシア水文気象環境監視局(Rosgidromet)は9日、サハ共和国の状況は「悪化し続けている」と警告した。同局によると、「アクセスが困難な遠隔地」を含む340万ヘクタール近くが現在も延焼している。

 一方、NASAは7日、衛星画像で森林火災の煙が「サハ共和国から3000キロ以上離れた北極に到達している」と発表。「観測史上初めてのこと」だと評した。6日には「ロシアの大半」が煙に覆われたとも述べた。

 環境保護活動家らは、消火活動にかかる費用が損失額を上回る場合や、居住地に影響を及ぼさない場合には介入しなくてもよいとする法律を根拠に、当局が毎年広大な範囲を焼失させていると非難している。

 ロシアの森林当局によると、今年の火災は1400万ヘクタール以上に及び、今世紀に入って以降、2番目に被害の大きなシーズンとなっている。

 環境保護団体グリーンピース・ロシア(Greenpeace Russia)森林プログラムの責任者を務めるアレクセイ・ヤロシェンコ(Alexei Yaroshenko)氏は、同国の森林火災の拡大について、気候変動の影響に加えて「国家の森林管理力が低下し続けていること」が関連していると指摘している。(c)AFP