【8月10日 AFP】米英加の3か国は9日、ベラルーシでアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領(66)の強権支配に対する抗議デモが発生してから1年に合わせ、反政権派弾圧をめぐる新たな制裁を発表した。一方のルカシェンコ大統領は、各国による制裁を非難した。

 1994年から権力の座を保持するルカシェンコ大統領は、昨年8月の大統領選をめぐる大規模なデモ発生後、数百人を収監している。選挙ではルカシェンコ氏が勝利したが、不正があったとの指摘が多方面からなされている。

 欧米諸国は、ルカシェンコ政権に対し繰り返し制裁を発動。米政府は9日、ベラルーシ五輪委員会などを対象とした新たな制裁を発表した。

 ルカシェンコ氏の息子が率いる同委員会は、東京五輪のベラルーシ陸上代表、クリスツィナ・ツィマノウスカヤ(Krystsina Tsimanouskaya)選手が帰国を強制されかけた問題に関与したとされる。米政府は、同委員会が「ベラルーシ国民の民主的願いと人権を攻撃」したと批判した。

 また、英政府は、ベラルーシ航空各社に対し英領空の飛行と英国内への着陸を禁止するとともに、一連の経済制裁を強化すると発表。カナダもベラルーシの主要産業を対象とした制裁を発表した。

 だがルカシェンコ氏は同日開いた年次記者会見で、国際社会からの圧力には屈しないと宣言。昨年の大統領選は「完全な透明性」の下で勝利したと主張し、「われわれは決してひざまずかない」と語った。

 8時間以上にわたり続いた会見ではさらに、「あなたたちは第3次世界大戦を始める危険を冒している」と指摘。「わが国とロシアに対してそれを迫りたいのか?」と問いかけた。ルカシェンコ政権はロシアの支援を受けており、欧米諸国による制裁の影響は今のところ限定的となっている。

 ベラルーシは先週、ウクライナでベラルーシ人活動家のビタリー・シショフ(Vitaly Shishov)氏が首をつった状態で遺体として発見されたことや、ツィマノウスカヤ選手がポーランドに亡命したことから、再び国際的な注目を集めた。

 ルカシェンコ氏はシショフ氏について「われわれにとっては取るに足らない人物だった」とし、「シショフ氏がいなくても、対処すべき相手はたくさんいる」と語った。ツィマノウスカヤ選手については、ポーランド政府によって「操られている」と主張した。(c)AFP