【8月8日 AFP】東京五輪の競泳は、ケーレブ・ドレッセル(Caeleb Dressel)とケイティ・レデッキー(Katie Ledecky)がけん引した米国が優位を保った。だが、復調著しいオーストラリアと急速に進化する英国の台頭で今後の競争は激化するとみられる。

 米国チームは将来有望な選手がそろったが、過去4大会で他を圧倒したマイケル・フェルプス(Michael Phelps)を筆頭に数人のベテランスターを欠いた。

 男子の常連ライアン・ロクテ(Ryan Lochte)、ネイサン・エイドリアン(Nathan Adrian)、アンソニー・アービン(Anthony Ervin)は欠場。女子のシモーネ・マヌエル(Simone Manuel)は米代表選考会で下位に終わり、100メートル自由形の五輪2連覇はかなわなかった。

 リーガン・スミス(Regan Smith)は女子200メートル背泳ぎの世界記録保持者だが、選考会で振るわず東京での同種目出場を逃した。

 彼らの欠場はメダル獲得の勢いをそいだ。5年前の2016年リオデジャネイロ五輪と比べ、米競泳陣の金メダルは16から11に、メダル総数は33から30に減った。

 ドレッセルとレデッキーの2人で7個の金メダルを獲得した一方、ライアン・マーフィー(Ryan Murphy)とリリー・キング(Lilly King)の五輪連覇はならなかった。

 米国女子ヘッドコーチのグレッグ・ミーハン(Greg Meehan)氏は、勝つことがすべてではないと言い切り、「どんなメダルでも祝福してきた。金メダルをもっと取りたい。メダル総数も増やしたい。銅メダルや銀メダルでも失望したり、恥じたりすることはない」と語った。

 期待外れに終わった注目選手もいたが、米国は才能ある新たな選手らも見いだした。特に21歳のロバート・フィンケ(Robert Finke)は、自由形800メートルと1500メートルの長距離2冠を達成した。

 女子100メートル平泳ぎでは17歳のリディア・ジャコビー(Lydia Jacoby)が金メダル、女子400メートル個人メドレーでは19歳のエマ・ウェヤント(Emma Weyant)が銀メダルを獲得した。

 男子コーチのデイブ・ダーデン(Dave Durden)氏は、米国チームへの期待が高いのは「幸せなことでもあり、災いでもある」と話す。「成功への期待の高さがわれわれの文化に組み込まれていて、『五輪ではそれが当たり前』と言われる」

「『5年前や8年前はあれだけの成績だった』などと言われるのは災いの方だ。今回のメンバーとしては素晴らしい成績だった」