【8月7日 AFP】競泳女子、米国代表のシモーネ・マヌエル(Simone Manuel)は、アスリートが試合で負けた直後にメディアのインタビューを受けることについて、「精神的および感情的に疲弊していること」を理由に強制されるべきでないと訴えている。

 アスリートのメンタルヘルスを保護するべきとの声が相次いでいる中、マヌエルは自身のツイッター(Twitter)アカウントに、不本意な結果に終わった一流の選手が「自分たちの魂を全て人々にさらけ出す義務はない」とつづり、「気持ちを消化する時間を取れていないアスリートに対し、負けた直後にインタビューをするのはやめてほしい」と投稿した。

「本当の話。選手たちは全身全霊で戦っている。その時点で他に人々が知るべきことは何もない」

 リオデジャネイロ五輪では金メダル2個と銀メダル2個に輝き、五輪競泳の個人種目を制した初の黒人選手となるなど目を見張る成績を記録したマヌエルだが、東京五輪では期待通りの結果を残せず、獲得したのは女子4×100メートルリレーの銅メダル1個で、50メートル自由形では決勝進出を逃して涙をこらえていた。

 マヌエルは、負けた後にメディア会見を拒否すると「見苦しい敗者」とレッテルを貼られるリスクがあるが、そもそも選手がインタビューを受けられる精神状態にないことも多いと話す。

 6月に行われた米国の五輪選考会では、心拍数増加や不眠症、うつ、不安、倦怠(けんたい)感に悩まされていたと告白していたマヌエルは、「感情を持つ人間として私たちを見て」と強調した。

 東京五輪では、体操女子の米代表シモーネ・バイルス(Simone Biles)が、優勝候補に挙げられていた複数の種目を棄権し、アスリートのメンタルヘルス問題が注目されている。バイルスと同様に東京五輪の顔の一人で、女子テニスの大坂なおみ(Naomi Osaka)も先日、スポーツ界におけるメディアの役割に疑問を投げ掛けていた。(c)AFP