【8月6日 People’s Daily】中国浙江省(Zhejiang)寧波市(Ningbo)鄞州区(Yinzhou)の城楊村は東銭湖の最南端に位置し、東は塘渓に隣接し、西は横渓に至る。山に囲まれ、2本の小川が村を通り抜け、絵のように美しいが、産業はあまりなく、集団経済も弱い。

 転換は昨年7月に始まった。当時、村の幹部の招きに応じ、中国人民大学(Renmin University of China)芸術学院の叢志強(Cong Zhiqiang)副教授が城楊村を訪れた。彼を招待した理由は、寧波市寧海県(Ninghai)葛家村での成功体験だった。2019年から、叢副教授はチームを率い、指導、支援を通し、村民の芸術創作への情熱を引き出し、1年余りをかけ、村に40余りの芸術共有スペースを建設し、葛家村を芸術的な味のある「ネット人気村」に変えた。現在、同村は年間10万人余りの観光客を受け入れ、累計で250万元(約4250万円)の増収となり、他郷にいる村民が引き付けられ、帰郷し創業投資した金額は合計で2000万元(約3億4000万円)余りに達した。

「村には観光デザイナーズ村をつくる計画があったが、実現しなかった」「うちの村は行けますか?」。村の幹部の問いかけに対し、叢副教授は村を一周し、何度も考えた末、試してみることにした。しかし、一部の村人はあまり期待しておらず、芸術は農村から遠すぎると感じていた。

 叢副教授はまずやってみることにした。彼とチームの指導の下で、村は村民、大学院生チームと鎮駐村幹部からなる芸術作業チームを結成し、村の小さな改造建設に取り組んだ。

 村の小さな改造は、「教授がやり、村人が見る」というモデルではなく、村人が主力だ。叢副教授は、まず意向がある村人にやってもらうことに決め、彼が指導し、手本を示した。

 村人の兪振飛(Yu Zhenfei)さんは芸術作業チームと村の招待で、2人の村人と一緒に2か月の間に、750キロのモウソウチク(孟宗竹)を使い直径6メートルの巨大な「農夫麦わら帽子」を編み、その後、高さ7メートルの「酒瓶」を編みあげた。今では、この2つの大きなインスタレーション作品が村人気のランドマークとなっている。また、村では大工、左官、塗装工などの名匠を集め、村の公共スペース、遊休地、公共施設を改造した。

 現地で材料を集め、「小さな改造・細かな向上」を進め、村の隅々まで充実させている。80歳近い大工の楊紀岳(Yang Jiyue)さんは十数年前からマホガニー家具やあずまやのミニチュアを作り始め、家の中には大量の木の宝物があり、今では彼の家は「博物館」になっている。村人の応明菊(Ying Mingju)さんは麦わら帽子を編むのが得意で、彼女の家はもともと薪を置いていた空間を解体した後に「帽子語館」を建て、村の観光スポットになっている。廃棄された養殖場は芸術作業チームの設計で、特色あるライブ配信ルームに変わった。1年足らずで、村人は野菜市場、慈孝公園、展示館など60か所の改造を完了し、生活・生産空間の変化を実現した。

 改造された城場村は、小さな橋が架かっているせせらぎの(畔にある数軒の)人家の美しい村の絵のようだ。古い木、灰色の壁、青い水、屋根付きの橋や大きなインスタレーション作品、展示館、大工のワークショップなど、互いに照り映え、美しい景色になっている。多くの村民は「古村は文化の息吹に満ちている」と感慨深く語った。

 芸術は村民に活力を与え、村民はまた村を振興させる。村人の自己創作、企業の創作へのけん引、文化観光モデルの成功を通じ、村は日々変化している。ますます多くの村の人々が、大挙して芸術での村の振興に加わった。村はより美しくなり、投資とビジネスチャンスも訪れた。村の観光が活況を呈し、人気が高まり、飲食店や農業特産品、手工芸品、アグリテイメント(農家楽)などの商売はますます繁盛し、村人の生活もますます豊かになっている。(c)People’s Daily/AFPBB News