【8月6日 AFP】サッカー女子カナダ代表のクイン(Quinn)は、6日に行われる東京五輪の決勝にチームが進出したことで、トランスジェンダーを公表した選手として初の五輪メダリストになることが確定している。

 単にクインの名で知られ、「they」や「them」を自身を指す代名詞に使う同選手は、スウェーデンとの決勝でプレーすることになっており、結果にかかわらずメダルを獲得することが決まっている。

 クインは2014年に代表デビューを果たし、2016年リオデジャネイロ五輪では銅メダルに輝くなど、カナダ代表チームでは長年活躍してきた選手で、昨年になってトランスジェンダーであることを公表した。

 今大会ではニュージーランドの重量挙げ女子代表であるローレル・ハバード(Laurel Hubbard)がトランスジェンダーの選手として大きな注目を集め、同じくパイオニア的な立場にいるクインの存在感は、ここまで陰に隠れていた。

 クインは東京に到着した後、トランスジェンダーであることを公表したアスリートとしてスポーツ界最大の舞台に立つ意味について、「どのように気持ちを表現すればいいか分からない。ラインアップや登録証に『クイン』と書かれているのを見ると誇りに感じる」と自身のSNSに投稿した。

 その一方で、「先人の五輪選手が、世間のせいで自分に正直に生きることができなかったことは悲しい」とも書き込んだ。

 また、未来を楽観しているとしながらも、トランスジェンダーコミュニティーは依然として厳しい現実に直面していると強調し、「競技を禁止されているトランスジェンダー女子もいるし、五輪の夢を追い掛けようとしている中で、差別や偏見に直面している女性たちもいる」とつづった。

「闘いの終わりはまだまだ先…。自分が喜べるのは、全員がここにたどり着いたとき」 (c)AFP/Neil SANDS