【8月8日 AFP】西アフリカ・コートジボワールの都市ディボ(Divo)に初めて生まれた有機食品の店で、アガット・バニ(Agathe Vanie)さんが棚に並んだ商品を誇らしげに眺めている。「お金になります」

 農業を本業とする彼女が創設し、代表を務める非営利団体(NPO)「ワロ(Walo)」は、地元の女性たちを集めて有機農産物を栽培し、販売している。

 店に並ぶナス、ラッカセイ、コショウ、ターメリック、オクラなどは同国南部のディボ周辺の農地で採れる。そこで働く2000人余りの女性をまとめるワロは、地元のディダ語で「愛」という意味だ。

 従来型の栽培方法の野菜よりも値が張るが、有機というブランディングが多くの客を引き付けている。西アフリカのこの国で、食品のクオリティーに対する意識が高まっている大きな証しでもある。

「土や野菜、果物に散布される農薬で病気になってしまいます」と農業従事者のマリー・ミシェル・バジャイリ(Marie Michele Gbadjeli)さんはAFPに語った。「この店を見つけてからずっと、健康的な食べ物を食べています」

 コートジボワールの主要輸出農産物はカカオだ。世界のカカオ市場の4割以上を占めている。しかし、農村部はカカオの生産にずっと依存してきたため、カカオ価格が下落するたびに貧困に陥っている。

 農薬を使わないさまざまな作物に手を広げることが、自分たちの家計にも環境にも、より持続可能な選択となることをバニさんは願っている。

「有機農業を始めるために私が女性たちを集めたのは、まず自分たちの健康のため、そして自立して子どもたちを学校に通わせ、貧困から抜け出すためです」とバニさん。「カカオ以外の作物を手掛けたり、化学肥料を使わずに食用作物を育てたりすることで、お金を稼げるようになります」

 5人の子どもを持つフロランス・グーボ(Florence Goubo)さんは「もう畑に農薬は使いません。有機に切り替えて、私たちの暮らしは変わりました」と語る。「子どもたちを育てて教育するために、少しでもお金が稼げます」

 アフリカで自然食品が欧州や北米並みの認知度や人気を得るには、まだまだ時間がかかるだろう。

 だが、製品のトレーサビリティー(生産・流通過程の追跡可能性)や品質向上を目指すワロなどの取り組みは勢いを増している。

 カカオ産業でもそのような動きは広まっており、海外ブランドが環境に優しく、児童労働と無縁な「エシカル(倫理的な)」な商品に対する需要に応えようとしている。

 ワロはこれまでの成果を元に食品加工工場を建てる目標を立てている。地域の農業に付加価値を与え、雇用も創出する取り組みだ。

 映像は5月に取材したもの。(c)AFP/Christophe KOFFI