【8月5日 AFP】ベラルーシの首都ミンスクで4日、反政権デモのリーダーで国内に唯一残ったマリア・コレスニコワ(Maria Kolesnikova)氏(39)の裁判が非公開で始まった。国家安全保障を損なった罪などに問われているコレスニコワ氏は、被告用ケージの中で笑みを浮かべ、踊ってみせた。

 コレスニコワ氏は、昨年夏の大統領選にアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領の対立候補として出馬したスベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏の選挙チームの一員で、選挙後の抗議デモを主導した反体制派の幹部では唯一、国内に残っている。

 コレスニコワ氏は昨年9月、ベラルーシ国家保安委員会(KGB)に強制的に国外退去させられそうになった際、自らパスポート(旅券)を破って抵抗し、身柄を拘束された。交響楽団の元フルート奏者で、ベラルーシ反体制運動のシンボルになっている。

 注目の裁判は、東京五輪のベラルーシ陸上代表選手がコーチ陣を批判したことで強制帰国を命じられた問題や、隣国ウクライナでベラルーシ人活動家が殺害された事件などをめぐってルカシェンコ政権への批判が高まる中で始まった。

 法廷の様子を映した動画の中で、黒いワンピースにトレードマークの赤い口紅という姿で出廷したコレスニコワ氏は、被告用ケージの中で笑顔を見せ、ダンスをしてみせている。また、抗議デモでよく披露していたように、手でハート形をつくる様子も確認できる。

 コレスニコワ氏は、国家安全保障を損なった罪、国家権力の奪取を画策した罪、過激派集団を組織した罪で起訴されている。有罪になれば、最長で懲役12年の刑が科される恐れがある。(c)AFP