【8月10日 AFP】外国軍がほとんど撤退したアフガニスタンで旧支配勢力タリバン(Taliban)が勢力図を拡大する中、政府軍の能力に疑問が投げ掛けられている。専門家によると、アフガニスタン軍とタリバン、全く異なる2勢力の対決を決定付けるのは、装備や兵力のみならず士気かもしれない。

 この戦いは従来の軍事衝突とは違う。一方は、訓練・装備の面で超大国に支援された大規模な軍隊。もう一方は、小規模ながら、豊富な供給力を誇り、麻薬資金に支えられているイスラム過激派だ。

 米国はアフガニスタン軍に数百億ドル(数兆円)を投じ、暗視ゴーグルから戦闘ヘリコプター、装甲車、偵察用ドローンに至る最新兵器やハイテク機器を提供してきた。また国家警察隊を含め30万人以上を擁するアフガニスタン軍は、タリバンよりも規模が大きく、武器や技術も先進的だ。

 一方のタリバンは歩兵を主体とするゲリラ軍で、空軍を持たない。兵力は、国連(UN)による昨年の推計では5万5000~8万5000人とされている。

 だが、数だけですべてを語ることはできない。

 タリバンが主に使用している武器は、戦闘で荒廃した国内で入手しやすいものか、闇市場で調達したもので、自動小銃AK47の派生モデルなど旧ソ連で設計されたものだ。さらにタリバンは、アフガニスタン軍から欧米製の武器や装備を奪い、イランやパキスタンなどから物質的支援や助言を受けているとされる。

 タリバンの戦闘スタイルについて、米軍事シンクタンクCNAのテロ対策専門家ジョナサン・シュローデン(Jonathan Schroden)氏は、アフガニスタン軍に比べると「ロジスティクス(兵たん)面がかなり分散されている」と指摘する。

 タリバンは、財政面でも軍よりはるかに自立度が高いとみられている。国連の監視機関によると、タリバンは国内の巨大な麻薬産業や犯罪行為、支配地域での徴税などから年間3億ドル(約330億円)から15億ドル(約1650億円)の収入を得ている。