■持続性の低い軍隊は不利

 一方、アフガニスタン軍は年間50億〜60億ドル(約5500億~6600億円)の資金を必要とするが、そのほとんどは米国を中心とする外部の資金源によって賄われている。

 空軍はタリバンを圧倒する攻撃手段になるが、整備要員が不足しており、その役目を主に担ってきた米国の請負業者も米軍と一緒に撤退する。

 米軍が1月に発表した評価によると、アフガニスタン軍の飛行機やヘリコプターは数か月以内にも戦闘で使えなくなる可能性がある。

 残留部隊を統括する米司令官は、第三国でアフガニスタン軍機を整備することも可能だと述べているが、どんなに規模が大きく、装備が充実していても、持続性の低い軍隊は、外国の支援が途絶えた途端に不利になり得る。

■米軍に「見捨てられた気持ち」

 さらに、決定的な要因になり得るのが士気だ。

 専門家らによると、タリバンが強い結束力を示している一方で、アフガニスタン軍は長年にわたって統率力不足や汚職、兵士らの士気の低下に悩まされてきた。そこへ来て最近のタリバンの攻勢で、精神的に一層ダメージを受けている。

 独立系政策研究機関「アフガニスタン・アナリスツ・ネットワーク(Afghanistan Analysts Network)」のケイト・クラーク(Kate Clark)氏は先月の評価書で、「政府にとっては一部地域の陥落は想定済みだったのかもしれないが(中略)各地が連鎖的に次々と陥落していった時に治安部隊や国民の士気がどれほど下がったかという点は軽視できない」と指摘している。

 米シンクタンク、ランド研究所(Rand Corporation)のブライアン・マイケル・ジェンキンス(Brian Michael Jenkins)氏は、士気を喪失しているアフガニスタン軍の兵士は米軍撤退によって「見捨てられたという気持ちを強く抱き」、自らの生き残りを考えるようになるかもしれないと言う。

「兵士らが個々の決断を下す際の判断材料は、国益や国家戦略ではない」と指摘し、「『こうした状況の中で、自分はどうするべきなのか? タリバンとカブールの大統領府に挟まれ、ここで最後のとりでになることが自分にとって最善なのだろうか?』という思いだ」と続けた。(c)AFP/Mushtaq Mojaddidi, with Qasim Nauman in Seoul