【8月5日 AFP】米インターネット交流サイト(SNS)大手フェイスブック(Facebook)は3日、ニューヨーク大学(New York University)の広告調査プロジェクトチームがユーザーの同意なくデータを収集していたとして、プロジェクトの関連アカウントを停止した。誤情報や悪質なコンテンツを調査する外部の専門家に対する同社の透明性をめぐり、新たな論争が起きている。

 フェイスブックの製品管理ディレクター、マイク・クラーク(Mike Clark)氏は、アカウント停止の理由について「無許可のデータ収集を阻止し、わが社のプログラムに基づいてユーザーのプライバシーを保護するため」だと説明した。

 ニューヨーク大のプロジェクトはウェブブラウザー拡張機能を使って政治的デマや暴力的なコンテンツ、新型コロナウイルスの誤情報を広める広告のデータを収集するもので、ここ数か月間にわたり、フェイスブックと対立していた。

 クラーク氏はブログで、プロジェクトチームはユーザー名や広告情報、プロフィルへのリンクを収集し、その対象は拡張機能をインストールしていない人やデータ収集に同意していない人にまで及んでいたと主張。「研究はプライバシー侵害を正当化する理由にはならない」と述べた。

 だが、フェイスブックの措置は反発を招いた。研究者や言論の自由を訴える活動家は、フェイスブックが第三者による同社内部ツールへのアクセスを遮断していると非難している。

 プロジェクトを率いるニューヨーク大学のローラ・エデルソン(Laura Edelson)研究員は、「過去数年間にわたり、私たちはこのアクセスを活用してフェイスブックの広告ライブラリ(Ad Library)における構造的な欠陥を明らかにしてきた。選挙制度への不信の種をまくような政治広告の誤情報を特定し、フェイスブックが偏った誤情報を拡大させた可能性を調査してきた」と述べた。

「フェイスブックはわれわれのアカウントを停止することで、こうした取り組みをすべて終わらせようとしている。さらに、プロジェクトを通してフェイスブックのデータを得ていた研究者やジャーナリスト20人以上へのアクセスを事実上断ち切った」とエデルソン氏は続け、プロジェクトではワクチンの誤情報についても調査していたと語った。(c)AFP