【8月5日 AFP】(更新)世界保健機関(WHO)は4日、新型コロナウイルスワクチンの分配量をめぐり富裕国と貧困国の間に著しい格差が生じている実態に対処するため、ブースターと呼ばれる追加接種の実施を少なくとも9月末まで見合わせるよう各国に求めた。だが米国は、国内での追加接種と貧困国へのワクチン供給は同時に行えるとして、WHOの要請を拒絶した。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は記者会見で、各国やワクチン関連企業に対し、貧困国へのワクチン供給を増やすよう要請。新型ウイルスの変異株「デルタ株」から自国民を守りたいという各国政府の意向に理解を示しつつも、「世界で最も脆弱(ぜいじゃく)な人々が依然として守られていないのに、世界に供給されているワクチンの大半をすでに使用した国々が、さらに多くのワクチンを使用することは受け入れられない」と表明した。

 AFPの集計によると、コロナワクチンはこれまでに世界で42億5000万回分以上が投与された。世界銀行(World Bank)の分類で高所得とされる国では今週、人口100人当たりの接種回数が100回を超え、現在は101回となっている。一方、所得水準が最も低い29か国では100人当たり1.7回にとどまる。

 テドロス氏はこうした状況に鑑み、少なくとも9月末までは追加接種を一時停止し、すべての国で人口の少なくとも1割が接種を受けることを目指すよう訴えた。

 これを受け、ジェン・サキ(Jen Psaki)米大統領報道官は記者会見で、「この二択は誤っており、両方を行うことが可能だ」と主張。米国は他のどの国よりも多くワクチンを寄付しており、他国にも追従を促していると述べた。(c)AFP