【8月4日 People’s Daily】注目を集めている中国全国の炭素排出権取引が7月16日に開始した。発電業界は全国の炭素市場に初めて参入する業界になり、市場の開始初期には発電業界の重点排出企業間のみで割当額の現物取引が行われるという。

 中国生態環境省の趙英民(Zhao Yingmin)次官は7月14日に行われた国務院政策定例ブリーフィングで、今年は中国全国の炭素市場の初の条約履行サイクルで、発電業界の重点排出企業に組み入れられたものは2000社を超えたと述べた。推計によると、炭素市場に含まれたこれらの第1弾となる企業の炭素排出量は40億トンを超え、中国の炭素排出権取引市場が活性化すれば、温室効果ガスの排出量をカバーする世界最大の炭素市場になることを意味する。

 中国の全国の炭素排出権取引市場の建設は、市場メカニズムを利用して温室効果ガスの排出を制御・削減し、グリーン低炭素の発展を推進する重要な制度革新だ。

「全国の炭素市場は中国の炭素排出ピークアウト、カーボンニュートラルにとって非常に重要な役割と意義をもっている」と趙次官は述べた。趙氏の紹介によると、国内外の実践により、炭素市場は低いコストで特定の削減目標を達成する政策ツールだという。伝統的な行政管理の手段と比べ、温室効果ガス排出のコントロールを企業の責任とし、また炭素排出削減に相応する経済インセンティブメカニズムを提供し、全社会の削減コストを低減させる。それにグリーン技術革新と産業投資をけん引し、経済発展と炭素排出削減の関係をうまく処理するための効果的なツールを提供する。

 注目すべきは、全国の炭素市場取引において、企業の炭素排出データの質が特に重要であることだ。趙氏は、割当額の割り当ての公正性の面で、全国の炭素市場割当額の割り当て方法は全国で統一され、その公開・透明性の確保のため、炭素排出データの正確性を確保することが炭素市場建設の最優先課題だと述べた。

 炭素市場は価格シグナルによって炭素排出削減資源の最適配置を誘導するため、炭素価格がどのように形成され、どのレベルとなるかが注目されている。趙氏は、ミクロ的かつ短期的な炭素価格は主に割当額の需給状況で決まる。マクロ的かつ長期的に見ると、炭素価格は経済運営と産業発展の全体的な状況と傾向によって決定されると説明した。

「率直に言うと、炭素価格が高すぎるのも低すぎるのもよくない」。趙氏は、炭素価格が低すぎると、企業の炭素排出削減のモチベーションをくじくだろうし、逆に高すぎると、高炭素企業の負担が過重となってしまうこともあると述べた。「現在、全国の炭素市場が未活性なため、炭素価格がいくらなのかは分からない。全国7か所で試行運行した状況から見ると、ここ2年間の加重平均炭素価格は約40元(約675円)前後だ」と、趙副部長は言った。

 発電業界の炭素市場の健全な運営を基礎として、全国の炭素市場をカバーする業種は、鉄鋼、有色、石油化学、航空など、より排出量の多い業種に徐々に拡大予定という。今後、生態環境部は支援制度体系を持続的に改善し、「炭素排出権取引管理暫定条例」の制定を推進し、関連技術法規、標準、管理体系をさらに改善していく。(c)People’s Daily/AFPBB News